2022年秋に海上運賃急落のことを書きましたが、コンテナ運賃は回復する兆しを見せることなく、物量も停滞したままです。



グローバル的にはニッチなマーケットとしてある程度踏みとどまっていた中日輸入航路でも、青島や大連、連雲港などの華北航路では2月ごろから急速な運賃下落が進み、徐々に華東航路にもその市況が広がりつつあります。


筆者は多かれ少なかれアジア域内のコンテナ運賃は中国・アジア発北米向け物量と運賃に方向性を決定されるものと考えていますが、数字を見ると明らかに2022年8月をピークに下落の一途をたどっており、物流に復調の兆しはありません。

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政治的なリスクによる米中貿易の影響が皆無であるとは言えませんが、アジア発の物量が同じ傾向を示しているところを見ると、やはり物流全体が停滞していると言わざるを得ません。


先述の華北航路の運賃下落は、2022年Q4ごろの新興船社参入やSJJによる航路参入がきっかけであったと見ることもできますが、いずれにせよ貨物の絶対量が下落している現在、船社にとっては非常に厳しい現状でしょう。

輸入航路では、積み地のローカルチャージがIncludeとなったマイナス運賃も散見されるようになり、ついには日本側CICも込みのレートなど、コロナ前の水準以下ともいえるマーケットになっています。

そもそも日本側CICは輸入過多であるインバランスを解消するためのコストであるはずなのに、それを撤廃してまでボリュームを稼ぐことは収益性を悪化させる要因でしかないように思えるのですが・・・


中国発のアジア航路も貨物量が減少していると聞きます。

激安運賃での叩きあいは当面継続するものと思われますが、運賃が底値に落ちても物量が回復しなかった場合、船社としては今後サービス縮小の方向に進むのではないでしょうか。


日本発着航路の営業でも、1週間・2週間でめまぐるしく変わる市況から目を離せず、気の抜けない日々がしばらく続きそうです。