20232月、白い気球が世間を騒がせています。

 

アメリカ南東部、サウスカロライナ州上空に現れた気球は軍事的な脅威として24日に大西洋上で撃墜され、回収された残骸から情報収集や通信の機能を有する部品が確認されました。

 

さらにアラスカでも気球が発見され、サンタクロースを追跡する能力を有することで有名なNORADが同様の対応を行っています。


Chinese_surveillance_balloon_over_Billings,_MT

 

 

今回の件を受けて米政府は公式にこの気球が中国由来であることを明言したうえで強い抗議の態度を表明しています。

 

それに対して中国は、過去に米軍の気球が多数中国に飛来して偵察活動を行っていたとのカウンターを繰り出しましたが、偏西風の向きから考えてもきっとそれは有り得ないでしょう。

 

 

2020年ごろ日本の東北地方に飛来した気球も今回のものと同種と見られ、日本政府は改めてこのタイミングで当時の気球も中国由来だったとした上で、さらに今後同様の事案が発生した際には撃墜を可能とすべく、自衛隊法の解釈変更が国会で討議されています。

 

 

建前や憶測、分かっていても言えないことなどが水面下の氷山のように覆い隠されている国際政治の舞台で、今回日本政府がはっきりと、中国の飛行体を軍事的な手段で破壊する方向性を明言したのは、なにか明白な根拠が生まれたからなのではないでしょうか。

 

米国で起こったことがきっかけであることは間違いありませんが、明らかに3年前と比較して日本を取り巻く情勢がなにか大きく変化しているものと思われます。

 

与那国島への貨物大量輸送の引き合いが聞こえてきたりと、島国日本の水際で働く我々国際物流業者にとっても、今後の国際情勢の変化には予断を許しません。

 

 

 

ところで今回気球の撃墜にはミサイルが使用されたことがちょっとした話題になっていました。

 

なぜ機銃でなく、一発ウン千万円の高額なミサイルを使用したのか、と。

 

 

実際のところ航空を飛行する気球に機銃を当てても穴が開くだけでなかなか破壊できず、過去には失敗事例もあったとのことで、確実に気球を撃墜するためには最適な方法だったと言います。

 

しかしそんなことより、眼前に実際に存在する国家の安全を脅かす事案に対して、金銭的価値を持ち出すというメンタリティはいかがなものでしょうか。

 

平和は大変ありがたいことですが、平和維持のために払われている代償について我々はもっと認識をしておくべきだと感じる次第です。