最近テレビなどで、「非人道兵器」という言葉を聞くことがあります。

非人道兵器とはいったいどういったものなのでしょうか。


技術の発展とともに人類は様々な兵器を発明してきましたが、威力が過剰であったり残酷な被害をもたらす可能性のある兵器の使用の規制は19世紀の後半から議論が繰り返されてきました。

現代の国際社会で規定される非人道兵器の種類とその規制については、1980年に採択され、1983年に発効した「特定通常兵器使用禁止条約 (Convention on Certain Conventional Weapons : CCW) と、その附属議定書によって定義されています。

附属議定書の内容の詳細は外務省のWebsite に掲載されており、内容は以下の通り。


本条約は,手続等基本的事項につき規定した本体条約(締約国125)及び個別の通常兵器について規制する以下の5つの附属議定書から成る。
ア 検出不可能な破片を利用する兵器に関する議定書(議定書I;1983年発効)
 検出不可能な破片によって傷害を与えることを第一義的な効果とする兵器の使用を禁止している(使用の全面禁止)。

イ 地雷,ブービートラップ等の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書II;1983年発効,1996年に改正(改正議定書II),1998年発効)
 1983年の議定書は,対人地雷が主に使用される内乱には適用されず,また,探知不可能な地雷等を禁止していない等の問題点を内包していたが,1996年に改正された議定書は内乱にも適用され,一定の地雷(探知不可能なもの又は自己破壊機能を有さないもの)の使用制限や移譲の規制が盛り込まれるなど規制が強化された。
 その後,本件改正議定書に基づく部分的な禁止では対人地雷問題の抜本的な解決には至らないとするNGO等によって,CCWの枠外でオタワ・プロセスが開始され,対人地雷全面禁止条約が作成された(1997年署名,1999年発効)。

ウ 焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書III;1983年発効)
 文民及び民用物をナパーム弾等の焼夷兵器による攻撃目標とすること,人口周密地域にある軍事目標を攻撃目標とすること等を禁止している(部分的な使用規制)。

エ 失明をもたらすレーザー兵器に関する議定書(議定書IV;1998年発効)
 永久に失明をもたらすように特に設計されたレーザー兵器の使用及び移譲の禁止等を規定している(使用の全面禁止)。

オ 爆発性戦争残存物(ERW)に関する議定書(議定書V;2006年発効,我が国は未締結)
 主に不発弾等の危険を最小化するために,紛争後の対応措置や,不発弾の発生を最小化するための技術的予防措置を規定している。

生物・化学兵器やクラスター爆弾、対人地雷などはこれらの議定書に抵触する、または抵触の可能性があるということです。


戦争を放棄し、交戦権を認めない平和憲法を採択した日本には縁のない話ですが、戦争を行うにもルールがあるわけです。

ただし、非人道兵器でなければ人道的、というわけでは決してありませんが。


さらにいえば、核兵器は通常兵器(Conventional Weapons)の枠にはまらず、別の規定によって世界的に様々な取り決めがなされています。

やはり核兵器の使用は、広範囲に無差別に、そして長年にわたって影響を与え続けるということで別枠の設定を要したことは想像に難くありませんが、既存の世界の軍事バランスと対立構造を既成事実としてその方向性に合致した枠組みを設定しただけのもので、決して積極的にゴールに向かって世界を変えていくものでは無いように思えます。

核兵器が非人道兵器であるとはいまのところ国際的に定義づけられておらず、また2021年に成立した核兵器禁止条約には核保有国(と日本)は参加していません。


では、戦争とは合法なのか違法なのか。

これはまた全く別の議論となってしまいます。

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