3月末から始まった上海のロックダウンは既に1か月が過ぎ、今後も規制が緩和される見通しは今のところ立っておらず5月もおおむね同様の経過をたどるのではないかと考えられます。
ロックダウンにより上海市内の企業の経済活動そのものが停滞していることに加え、市内へ出入りするトラックも厳しい制限を受けているため、郊外と上海市内を結ぶサプライチェーンもほぼ稼働しておらず、上海港・浦東空港を窓口とした物流網は現在ほとんど機能しておりません。
港湾は稼働を継続しており、寄港した本船の荷役自体は行っていますが、引き取りがされない到着貨物が港湾機能を圧迫しつつあり、船会社では上海港向けリーファーやDG貨物の引き受けを制限しています。
ここのところ、アメリカなどからは徐々に空コンテナの回送が盛んにおこなわれるようになってきていると聞いていました。
場合によっては空コンテナ回送が優先され、実入りのブッキングスペースを圧迫しているとも。
上海での輸出抑制下で大陸へコンテナが戻れば中国からのコンテナ不足は一時的に解消されるのかもしれません。
しかしスケジュールの乱れなどによる輸送混乱と本船スペースの不足は続いており、世界的なコンテナの還流はまだ健全とは言えず、タイやインドネシアなど輸出過多の地域では引き続き輸出用のコンテナは不足しています。
先ほど述べた通り、上海港の港湾はトランシップ貨物の扱いなど、稼働を続けていますが、人員の不足やキャパシティの低下によって業務効率は悪化しており、上海港外では入港を待つ沖待ちの船が100隻以上いるとされています。
上海に寄港する本船のスケジュールには慢性的な遅延が生じ、上海での積替えを行う貨物には深刻な影響を与えています。
直接上海に発着する貨物自体は激減しており、船会社も船のスケジュールを間引きしているため、船のスケジュールはより不安定な状況が続いています。
郊外から上海港への出入りは規制が非常に厳しいため、対応が可能な荷主は近隣の太倉や昆山、寧波等の代替港を利用して物流の維持を試みていますが、近隣港のキャパシティも大きくないため連鎖的に港湾の稼働が悪化していくことが懸念されます。
一方で、上海の経済活動が停滞しているため、日本を含む中国、アジア発の遠洋航路の海上運賃は下落しており、本船スペースにもある程度余裕がでているため、欧州向けなどでは日本発の輸出でもスポット運賃でのブッキングが可能になりつつあります。
我々が最も心配しているのは、上海で経済活動が再開されたとき、大量の滞貨処理やバックオーダーの出荷の影響により再び運賃高騰やスペース、コンテナ不足が発生するのではないかという点です。
コロナの規制はさらに北京周辺に波及するという噂もあり、まだまだ中国の物流安定化は見えてきません。
北米西岸での労使交渉も間もなく開始が予定されており、一昨年からの世界的な輸送の混乱はまだまだ継続することになりそうです。
コメント
コメント一覧 (2)
logitwitter
がしました