世界で一番大きい飛行機は?

この問いには誰もがこの名を答えていたことでしょう。


アントノフ An-225 ムリーヤ (Antonov An-225 Mriya)。

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全長84m、全幅88.74m。

機体の大きさではほかにも世界最大級と呼べる航空機はあります。

しかし、重量225t、公称ペイロード250t、最大離陸重量640tという圧倒的なスペックは、ムリーヤが比類なき世界最大の航空機であると言えるでしょう。


An-225ムリーヤは、冷戦下で米ソが熾烈な宇宙開発競争を行っていた1980年代にウクライナ共和国のアントノフ社で開発されました。

当初、ソ連版スペースシャトルのブランを輸送するために開発されたAn-225ムリーヤでしたが、1989年、初回のブラン輸送任務が終了したところでソ連が崩壊し、その任務を失ってしまいました。

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その輸送任務を失い、機体は10年近く工場で放置されていましたが、アントノフ航空が近代化改修を行い、商用輸送機として2000年に現役復帰しました。


An-225ムリーヤは、その巨体と世界唯一という希少性から、世界中の航空ファンや業界関係者から愛され、ムリーヤが飛来するとなれば当地は非常に盛り上がり、大歓迎を受けています。

日本とも縁が深く、2010年にはハイチ大地震復興支援のために自衛隊がチャーターして成田空港からの輸送を行ったり、2011年の東日本大震災の際にはフランスのチャーターにより日本に救援物資を輸送しています。

その巨体とアナログなコックピットは航空マニアならずとも空に憧れる誰もが思い浮かべる究極の航空機のひとつとして、長く愛され続けてきました。






この度、この世界で唯一の機体 An-225ムリーヤがロシア軍の攻撃により破壊されたことが発表されました。

ウクライナ政府は機体の修復を行うとしていますが、被害は甚大であり、このユニークな機体を修復する技術者も少なく、見通しは非常に厳しいとされています。


ムリーヤはウクライナ語で希望を意味します。

この機体が平和な空を希望に満ちて飛ぶことのできる日は再びやってくるのでしょうか。