2021年8月15日、アフガニスタンの反政府勢力タリバンが首都カブールを制圧し、ガニ大統領は国外へと脱出しました。
2020年2月、トランプ政権時にタリバンとアメリカの間で交わされたドーハ合意に基づき、2021年9月11日までの完全撤退に向けて米軍が撤退開始したのに合わせてタリバンは一気に攻勢に出ました。
電光石火ともいえる侵攻作戦を次々に展開し、タリバンが首都カブールに到達したときにはすでに戦闘はほとんど行われなかったと言います。
アフガニスタンの文化の起源は古く、メソポタミア文明のころにはすでに人々が居住していた痕跡が確認されています。
東西・南北の交通の要衝であった地政学的な事情からか民俗学的にも非常に複雑な背景を持った国であり、歴史を紐解くと何度も大国の代理戦争の場となり、多くの人命や文化遺産が失われてきました。
ソ連侵攻時代には興国の士として祖国の開放のために戦っていたはずのムジャヒディーンは、対共産圏の戦友としてランボーとともに戦う姿が描かれたこともありましたが(ランボー3)、現実にはやがて国民に支持されたタリバンによって打倒されてしまいます。
しかしそのタリバンも2001年の同時多発テロを引き起こしたアルカイダを匿ったことにより、憎むべきテロリストと同列の世界の敵としてアメリカやNATOを始めとした各国の攻撃を受け、タリバン政権は崩壊します。
反政府ゲリラと化したタリバンは、破壊や虐殺を繰り返しながら、訪れたこの機会を逃さなかったということになるのでしょう。
タリバンはスンニ派のイスラム過激派とされていますが、多民族集団であるためそれほど宗教的な結束は強くないとも言われています。
今後、タリバンは政権を立ち上げ、政府組織として外交的な活動を開始すると思われますが、大国の侵攻と撤退が繰り返された国土に本当の平和がすぐに訪れるとはなかなか考えられません。
かつて記事にした中村医師もその著書の中で国際支援の難しさを説いておられました。
人々の生活に早く静けさが戻ることを願ってやみません。
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