3月下旬にスエズ運河で座礁事故を起こしたEVER GIVENは、約1週間で離礁に成功したものの、今後のコンテナマーケットにしばらく影響を与えることになりそうです。
直接的な影響としては、当然1週間足止めをくったコンテナの遅延。
洋上での1週間の滞船は、到着港の混雑を招き荷卸しまでにはさらに遅延が拡大する可能性もあるでしょう。
また、当のEVER GIVENはスエズ運河庁とエジプト政府からの高額な賠償請求に対して拒否する意向を表しており、運河内の退避区画で船員ごと今も拘束されています。
保険会社を通じて交渉をおこなっていると報じられていますが、交渉が妥結するまでは拘束が解除されないもようで、この本船に搭載された貨物はいつ到着することになるか予想がつきません。
間接的・長期的な影響としては、昨年から続いているアジア地域でのコンテナ不足に拍車をかけることになると筆者は予想しています。
洋上で遅延が発生したコンテナが多くあるということは、それだけ陸上で使うことのできるコンテナが少なくなったことを意味します。
特に東向き航路で遅延が発生した本船の多くは北欧州・地中海から中国に向かっており、スムーズに到着して再度輸出に使われることになっていたはずの数万本のコンテナの到着が遅れることは、現在の中国・アジア地域のコンテナ在庫にさらなる悪影響を与えるものと考えられます。
主要船社は相次いで欧州、北米向けPSSの値上げを発表しています。
アジア内のレートはいったん落ち着きを取り戻してきたようにも見えますが、TPEB、FEWBの貨物量の減少が見られない現在、このスエズの1週間はアジアの数か月に大きく影響を与えることになりそうです。
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