航路によっては若干コンテナの入手も容易になってきており、運賃も緩やかな下落基調となってきました。

それでも、アジアの一部ではまだまだコンテナの確保が難しく(タイ、ベトナム、インドネシアなど)、日本発の輸出もスペース状況が厳しいことには変わりありません。

いったいいつ頃までこのような状況が続くのでしょうか。


諸事情はありますが、中国発を中心とした北米向け貨物の爆発的な増加によって運賃の高騰を招き、更にアメリカにコンテナが滞留していることが現在の状況の原因であることはおおむね間違っていないと思います。

北米航路を持たない船社においても、メガキャリアのこうした状況がアジア地域の船社に大きな影響を与えています。

つまり、アメリカの滞留コンテナがアジアに還流することが現在の状況を好転させるカギであることは間違いありません。


では、アメリカからコンテナが帰ってくるようになるのはいつのことなのでしょうか。


JETROの概況やDREWLYの統計、経済指標を見ると次のようなことが分かります。


■アメリカの2021年1月輸出貿易額 ‥ 前年同月の92.4%
■アメリカの2021年1月輸入貿易額 ‥ 前年同月の103.2%
■中国発北米向けコンテナ貨物輸送量 ‥ 前年同月の115.4%
■アメリカの2021年1月住宅着工件数 ‥ 158万戸 → 前年同月の97.7%

世の中でよく言われる消費需要の増加、それを裏付ける一つの指標が住宅着工件数だと筆者は見ていますが、前年同月に及ばないもののかなりの需要があることを示しています。

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一方では、輸入額に対して輸出額の回復は鈍く、アメリカの産業はまだまだ回復途上にあることがわかります。

ワクチンの効果なのか、自然発生的な収束なのかわかりませんが、COVID-19の新規感染者数も1日5万人程度に落ち着いては来ていますが、この旺盛な消費意欲は経済活動の再開というよりはむしろ、低金利と助成金がバックアップになっているとも見られ、生産が無いのに消費のみが伸びるという危険な状況にも見えます。

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事実、バイデン政権は2020年にトランプ大統領によって行われた一人当たり600ドルの給付金を上回る、一人当たり1400ドルの給付金支給を含めた予算を成立させています。


アメリカの内陸に滞留するコンテナがアジアに戻るだけでも1か月くらいはかかるでしょうから、それらがアジア、そして日本にいきわたるには少なくともさらに数か月を要することになります。

中国発北米向けの物量は未だ前年を大きく上回る水準で推移しており、新造コンテナや余剰コンテナは当面TPEBに投入されることでしょう。

我々の手元に空コンテナが潤沢に届くのは、少なくとも夏以降になりそうです。