令和3年2月5日、国土交通省より次のような文書が配布されました。


「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う世界的な国際海上コンテナ輸送の需給逼迫への対応について(協力要請)」


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昨今問題となっている海上コンテナ輸送でのスペース、空コンテナ不足についてニュースなどでも取り上げられることが多くなってきましたが、国としても何らかの対策を打ち出さない限り国民の生活にいろいろな影響を及ぼすことに気づいたようです。


文書の宛先は、大手の荷主協会やJIFFAをはじめとする物流関連の団体、そして外国船舶協会となっています。

内容は、一昨年ごろ配布されていたヤード混雑緩和のための文書と大差なく、船社の反応も薄いうえ特に物流業界に対する影響はないような気がします。


日本発着航路におけるコンテナ、スペース不足の要因は、地域内にコンテナの絶対的な数量が減少していることに加え、船社は低収益であることを理由に日本航路のプライオリティを下げ、限られたリソースを高収益航路(=主に中国発)に集中させていることです。

また、アジア・中国で様々な物流改善を行ったり新造コンテナを手配しても、アメリカでの沖待ちや国内の滞留コンテナが劇的に減少し、空コンテナが還流しないかぎり、今の状況の根本的な改善はなされないものと思われます。


当初GW前後にはある程度の改善が見られるかと思っていましたが、もしかするともうしばらく先のことかもしれません。


高止まりする運賃市況にスポット更新の運賃を渋々受け入れてきた大手荷主も、さすがに4月からの運賃契約の入札を開始するようになってきました。

せめてフリータイムの短縮には寛容になるような意識の変化が見られるでしょうか。


配布された文書の骨子はこちらになります。

参考まで。

 
1.荷主及び船社以外の物流事業者の皆様への要請事項

①実入りの輸入コンテナの早期引取・空コンテナの早期返却にご協力をお願 いします。
②実入りの輸出リーファーコンテナについては、カット日搬入にご協力をお願 いします。
③フリータイム(無料保管期間)、デマレージ(超過保管料)及びディテンシ ョン(返却延滞料)の適切な運用へのご理解・ご協力をお願いします。
④実際の予定を上回る過剰な予約(ブッキング)や直前のキャンセルは行わな いで下さい。
⑤国際海上コンテナ輸送を利用する際には、可能な限り、日程上の余裕や経路 上の柔軟性のある計画として頂きますようにお願いします。

※コンテナターミナル内の長期蔵置貨物の解消は、コンテナヤード内での荷 役効率の改善を通じて、ターミナルゲート前でのトラックの長時間待機の改 善にもつながります。不足が深刻化しているトラック運転者の長時間労働の 是正・働き方改革の実現のためにも、今回の対応に限らず、輸入コンテナの 早期引取にご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

2.外航コンテナ船社の皆様への要請事項

①臨時船の運航、日本発着貨物へのスペースの割当の確保、コンテナの新規調 達の増加の検討を含め、日本発着貨物の国際海上コンテナ輸送力の増強及び 空コンテナの確保のため、最大限の努力をお願いします。
②国際海上コンテナのフリータイム、デマレージ、ディテンション及びカット 日の適切な運用をお願いします。