アジア発の海上運賃は天井知らずで上昇を続け、それ以上に積み地でのコンテナ不足は深刻な状況が続いています。

今の状況を招くことになった要因はいくつか挙げられますが、おおむね北米向け貨物の本船スペースとコンテナ需要の急上昇がきっかけになったと捉えられています。


ところが、北米に到着したコンテナはというと、現在のところスムーズに引き取られているとは言えません。


今なお(2020年11月24日現在)1日あたり1000人以上の死者と15万人もの新規感染者が報告されるアメリカでは、経済活動は到底平常時のレベルには回復していません。

コンテナが到着するほどには消費も進まず、倉庫での在庫も増加の一途、輸入コンテナの引き取りが進まないためにNEW YORKやLOS ANGELES, LONG BEACHなどのハブ港や内陸地のデポには滞留コンテナが山積みとなり荷役効率も低下しています。


この状況がアメリカの荷主に対して不利益を与えているとして、FMC(アメリカ連邦海事委員会)が状況調査に乗り出したことが報じられています。

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このパンデミックの状況下で、一部の船社やターミナルの行取っている行為や対応策が、海上輸送を利用する荷主の保護のために定められた Shipping Act of 1984 に反していないかどうかが調査の焦点になるようですが、FMCのChairmanであるMichael Khouri氏は、制限された経済の下でフリータイム内にコンテナを引き取り、返却をすることが困難な状況となっており、発生した高額なチャージ(Demurrage, Detention)が荷主にとって大きな負担となっていることに対して警鐘を鳴らすコメントを発しています。


However, there are reports that some carriers are threatening high charges for failure to return empty containers on time, even in cases where congestion has made it difficult or impossible to do so.


引き取りが滞っている買主に対して止めどなくコンテナ貨物が送り続けられるのが何故なのかは、売主と買主の売買契約の問題ですから我々物流業者の関知するところではありません。

それでもFMCの介入がアメリカに集まり続けているコンテナの還流の助けになることを願ってやみません。


コロナ禍でアセットを軽くするために大量に古いコンテナを処分した船社もありますが、いま2月から3月ごろの大量投入を目指して新造コンテナの製造が進んでいるとも聞きます。

アジア航路でさえルール無視の不定期値上げが続くこの異常な状況、日本発着の運賃レベルではスペースやコンテナを確保する力が圧倒的に弱まっており、荷主や物流業者は体験したことのない苦労を強いられることとなっています。


一刻も早い事態の改善を待ち望んでいます。