領事館とは、外交窓口や邦人保護、査証業務の提供などを目的として外国に設置された在外公館のひとつです。
ウイーン条約に基づき、大使館や領事館などの敷地内は治外法権となり、設置国の管轄権が行使されません。
このような在外公館はこうした外国特権を利用し、広義での邦人保護や情報収集、諜報活動など様々な政治・外交戦略の拠点として運用されています(当然日本の在外公館も同じ活動を行っています)。
通常、大使館は首都に設置し、地理的に広範囲をカバーできるよう各地に複数の領事館が配置されています。
現在、中国の在米公館は、ワシントンD.C.の大使館を筆頭に、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク、ヒューストン、ロサンゼルスに領事館が置かれています。
一方、アメリカの在中公館は、北京の大使館に加えて、瀋陽、広州、上海、武漢と香港に領事館が設置されています。
アメリカ政府は7月22日、ヒューストンにある中国領事館の閉鎖を命じたことを発表しました。
これを受けて中国領事館は中庭で文書を焼却している場面が撮影され、消防車が駆け付けるものの消防隊員の侵入を許さなかったなど、混乱が報告されています。
一方中国でも対抗措置として武漢のアメリカ領事館閉鎖を命じ、27日には館員は退去したことが報じられました。
経済、軍事、外交において緊張が高まる米中関係。
軍事衝突を危惧する声もありますが、あの東西冷戦の長い期間を「冷戦」と言わしめた現代人ですから、軍事力を行使する戦争状態に突入することは考えにくいと思います。
しかし、当時MADとまで揶揄された相互確証破壊(Mutual Assured Destruction)の状態にまでは至る可能性が大いにあり、日本はその緊張状態の最前線にあたることになります。
民主党のバイデン候補は、より強硬な対中政策の腹案を多く用意しているともいいます。
日本にとってはアメリカも中国も巨大な市場を持つ不可欠な貿易相手国です。
国際物流の最前線に立つ我々は世界情勢から一瞬たりとも目を離すわけにはいきません。
コメント