1971年7月25日、F-86の後継機として選定された2機の戦闘機が日本に輸入されました。

1958年に初飛行したF-4から派生したF-4Eを基に、日本の航空迎撃に特化した改造を施されたF-4EJです。

12機をノックダウン輸入したのち、三菱重工によるライセンス生産によって最終的に航空自衛隊に154機納品された複座・双発のこの大型戦闘機は、長きにわたり日本の空の守りのかなめとしての象徴的役割を担ってきました。

アメリカから10か国以上に輸出され運用されたF-4のライセンス生産が許可されたのは、当時日本だけでした。


1980年代に入り、機体運用の延長とアビオニクスの性能向上のためF-4EJ改として生まれ変わったファントムは、対艦・対地攻撃能力も追加され、独自の進化を遂げた機体としてジャパニーズファントムとして世界中に認知されることとなりました。


積み重ねられた戦技の蓄積と熟練の搭乗員の技量によりF-15を撃墜判定するともまことしやかに囁かれるファントムですが、残念ながら今年中にはすべての機体が退役し、後継機としてすでに導入が決定しているF-35にその役目を譲ることになっています。


非常に多くの機体が生産、運用され、退役していったファントムですが、じつは1971年に輸入されたF-4EJ 1号機(17-8301)は今でも岐阜県の飛行開発実験団で任務を継続しています。

f4-4
※飛行開発実験団のHPより





この機体は先日、49歳を迎えて今でも元気に平和な空を飛んでいることになります。


世界中で運用されたファントムですが、このように長年現役の機体として飛び続け、なおかついかなる相手も傷つけていない機体がほかにあるでしょうか。

専守防衛、抑止力としての任務を果たしながら高度な戦技を磨き続ける航空自衛隊。

そこには平和への祈りと民族の誇りに裏打ちされた日本人の高い精神性が隠されているような気がしてなりません。


その象徴的存在ともいえるF-4EJファントム。

稀代の名機と言える存在だと思います。



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