2020年5月9日、インド北東部シッキム州の中印国境付近で、両軍の兵士数百名が殴り合いとなり、双方数名ずつのけが人が発生しました。

現場の指揮官により騒ぎは収められましたが、国境付近の軍を増強しているという話もあり、緊張が続く状況となっているようです。


中国とインドの国境紛争のはじまりは20世紀初頭にさかのぼります。

当時インドを植民地支配していたイギリスは、清朝消失の混乱に乗じ、1914年のシムラ会談においてイギリスの全権大使マクマホンはチベットの独立を承認し、さらにインドの北限国境を延伸することを画策しましたが、中華民国はこの決定を認めませんでした。


明確な国境の合意がなされず、さらにチベットの主権も認められないまま国境地域では緊張が続いていましたが、1962年、チベットの独立運動とダライ・ラマのインド亡命をきっかけにインドと中国の間で国境紛争が勃発し、アメリカの支援を受けたインドは徐々に優勢となりましたが結果としてインドーパキスタン戦争のきっかけとなる対立構造を生むこととなりました。


その後、中国の支援を受けたパキスタンはインドに対抗して核開発を進め、インドの核開発はパキスタン、中国をターゲットに設定していました。

インドとパキスタン、中国との対立は、米ソ対立とは別に冷戦時に核戦争が勃発する恐れのあるもう一つの危険因子だったのです。

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尖閣諸島や南沙諸島、日本近海でも挑発的な軍事行動を活発化する中国ですが、西の地の果てでもこのような行動を起こしているようです。


2か月以上のロックダウンの末に新型コロナウイルス感染の収束を待たず徐々に経済活動を再開する道を選択したインド。

米中経済戦争の火種がくすぶる中でも軍事行動の力を示すことを厭わない中国に脅威を感じるのは私だけでしょうか。

足元に暴動の波が広がるアメリカに対して、世界のパワーバランスを変える戦いを本気で行っているように思えます。