中国は今日5月28日、全国人民代表大会の最終日において国家安全法制の導入を決定しました。

これにより、香港の民主化運動は大幅に抑制されるとともに、中国による管理がより強固なものになることが予想されています。


キャプチャ



イギリスから1997年に中国に返還された香港は、1国2制度の体制の元、高度な自治と資本主義的生活様式が2047年まで維持されることが保証されていました。

改革開放を目指す鄧小平の時代にはグローバル化に後れを取る中国の欧米経済圏への玄関口として中国の発展に大きく寄与した香港ですが、徐々に中国がその支配を強めようとするたびに雨傘運動や昨年の民主化デモなどの反発が起こっていました。


コロナ禍の混乱も冷めやらぬ中、今回導入された制度は、中国により香港に国家安全にかかわる機関を設置することを定めています。

このことにより、5つの要求を掲げて活動を継続していた民主化運動はもとより、今年9月に予定されている議会選挙の立候補者の選別などにも影響が出ると見られています。


以前民主化運動のことを書いた際にも触れましたが、香港は我々国際物流業者にとっても香港は非常になじみ深く、重要な拠点です。

一時、香港の民主化運動を後押ししていたかに見られたアメリカも、香港が中国に取り込まれる公算が高いと見るや、対香港の輸入規制を早速実施し、対中経済戦争と香港の問題を切り離した立ち位置を示しています。

もちろん我々はメインランド中国との物流や中国船社、エアライン無くしてはビジネスはできないと言っても過言ではありません。

香港の1国2制度体制が、より中国の1党独裁に近づいたとしても、それが物流の世界に大きな影響をすぐさまもたらすということはないのかもしれません。

それでも、荷主やキャリアなどの方向性(ポリシー)が方向転換されることは大いに考えられます。


我々自身のネットワークやお客様のビジネスへの影響が大きくならないよう、今後の動向に注意を払う必要があると考えています。