東京都は3月3日、来るべきオリンピック期の物流混乱を緩和するため、新たな施策を発表しました。

その骨子は次の通り。

(1) コンテナターミナルのゲートオープン時間の拡大

  • 全国初の「深夜ゲートオープン」を実施
    (ゲートオープン時間:7時30分~翌4時00分を予定 ※休憩時間含む)
  • 輸出入の前倒しや後ろ倒しに対応できるよう、大会期間前後の時間拡大も実施

(2) ストックヤードの設置

  • ストックヤード(24時間利用可能な貨物の一時保管場所)を大井、城南島、青海、中防外の4か所に約600台分設置



そのほかにも、中央防波堤外側(Y2)の運用拡大や、継続的な長期蔵置貨物の早期引き取り要請などが計画されていますが、そのいずれもが主に輸入コンテナ貨物への対応策となっています。


もともと関東地区においては、輸入=東京、輸出=横浜という構図が出来上がっており、輸入貨物のほうが過剰となっている状況はコンテナ船会社の頭痛のタネでもあります。

東京港で引き取られた輸入コンテナは東京港で返却されますが、その大半は東京港からの輸出に使用されることなく、横浜港などに回送されたり、再度船に乗せられて必要な港に送られたりします。

こうした運賃収受を伴わないリソースの消費を賄うため、船会社はやむなく CIC (Container Imbalance Charge)のような追加費用を導入したり、過剰に安価な輸出運賃を提示したりしています。


このようなアンバランスは、関西でも大阪、神戸で同様の状況でもあり、そもそもインフラの整備で対応するには限界のある、日本の輸出入のアンバランスの縮図でもあります。


このような構造的問題の影響が顕著に表れることが懸念されている今年の夏に向けて、今回の東京都の決定は非常に画期的といえます。

しかし、海外では珍しくないCYの24-7運用ですが、日本ではほぼ初めての試みであり、ドレージのドライバーやCYのオペレータなど、現場を支える人員が十分なのか、検証がされないままの実施のようにも思えます。


荷主は配送日時を指定します。

通関業者は、その期日に間に合うように通関を完了させ、船会社への支払いやBLの差し入れなど、コンテナ引き取りに必要な手続きを引き取り日までに済ませます。

しかしその後工程であるコンテナの引き取りは、配送日時に間に合わせる前提のもと、ドレージ会社にほとんど託されており、いつ、だれが引き取って、そのコンテナが一晩どこでどのように管理されているかを知る人は少ないのではないでしょうか。


今回の深夜のゲートオープンとストックヤードの運用も、効果がでるかでないか、現場に依存しすぎている部分が大きいような気がしてなりません。

それでも、午後の並びの解消と札かけ後の作業完了までの時間が夜勤者の方々の働きに分散され、ドライバー全体の拘束時間の短縮につながればよいと願うのですが。


無事にオリンピックが開催されたら、の話です。

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