貿易貨物の輸送を取り扱う我々にとって、知っておかなければならない知識は日本国内の法律だけではありません。

国際的に定められた取り決めや、日本を取り巻く政治情勢など、知っておくべきことはたくさんあります。

なかでも、日本に居ながらアメリカの法律を守らなければならないというOFAC規制は、もし違反すると知らなかったでは済まされず、莫大な金額のペナルティを支払わなければならない非常に厳しい規制なのです。


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OFACとは、アメリカ財務省の外国資産管理室 (The Office of Foreign Assets Control) の略です。

OFACでは、アメリカの外交政策や安全保障の観点から、大統領が指定した個人や法人、国などの資産を凍結する義務を課しています。


資産の凍結とは、早い話が貿易取引を禁じているという意味になりますね。


このOFAC規制の対象となるのは、アメリカ人(法人)、アメリカ国籍保有者、アメリカ居住者(法人)なのですが、アメリカに居住する個人や拠点を持つ法人は、日本の法人であっても制裁の対象となります。

つまり、アメリカに支店を持ち、外国為替を扱う日本の銀行は全て制裁対象となるわけで、事実上日本の法人はこの規制対象との貿易取引は行えないことになります。


この規制対象のリストはSDNリスト ( Specially Designated Nationals and blocked persons List ) というものですが、それこそ予告なしに日々対象が追加されます。


アメリカとの政治的関係が不安定な相手国との貿易取引の際には、かならず相手がSDNリストに載っていないか確認する必要があります。


また、貿易相手が対象の場合、銀行などのチェックで発覚することもありますが、船会社や航空会社など、貿易の手段にあたる法人がリストに載っている場合もありますので注意が必要です。


日本の輸出貿易管理令やワシントン条約などは注意を払うことができても、なかなかアメリカのOFACにまでチェックが至らない場合もあるかもしれません。


国際フォワーダーなどでは、グローバルスタンダードとして Banned / Restricted などの自社規制リストを作成、更新している場合もあり、EUやアメリカの規制もオンタイムで更新している場合も多いですね。

国際ネットワークを持っている会社であれば世界各国にその国の内情に長けた専門家を配置しており、安心できます。

日々の業務レベルでの都度確認はなかなか骨が折れますが、少なくともマネージャークラスでは把握しておくべき内容でしょう。


ただ、SDNリストの内容は先述のとおり、日々更新されるものであって、暗記するようなことではありません。

必要な時に何を参照すればよいかを知っておくことがいちばん大切なのです。


米国財務省のホームページで規制対象が検索できますので以下にリンクを貼っておきますが、日本の対象リストを調べるとなかなか興味深い結果がでてきます。

興味あれば。



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