航空機には、タイヤや脚、脚の取りつけられた胴体や翼に損傷を負うことなく、安全に着陸することのできる「最大着陸重量」が設定されています。

逆に言うと、長距離路線の航空機の場合、離陸時の重量がこの「最大着陸重量」を上回っていることは往々にしてあるわけです。


この重量の最も大きな要因となるのは言うまでもなく燃料。

離陸直後に何らかの異常事態が発生し、緊急着陸をしなくてはならない場合には、この燃料を減らし、機体の総重量が「最大着陸重量」を下回る状態で着陸する必要があります。

※ちなみに、着陸失敗時の炎上、延焼を防ぐために燃料を捨てる、というのは半分都市伝説。
あくまで、安全に着陸するために設けられた手順です。
ただ、着陸装置の故障などで胴体着陸を想定した場合などはその限りではありません。


燃料を減らし、機体の重量を下げる方法は二つ。

ひとつは、周回飛行などで飛行時間を稼ぎ、燃料を消費すること。

もうひとつは、着陸の緊急性が高い場合、燃料を投棄することです。


通常、燃料の投棄は翼端に備えられたノズルから霧状に噴霧され、すぐに大気中で気化してしまうので大気中や環境への影響は最小限であるとされています。

また、万が一地表に降っても影響がすくないよう、洋上で行われるものとされています。


1月14日、ロサンゼルス空港を離陸して上海に向かおうとしていたデルタ航空機が、離陸直後にエンジントラブルに見舞われ、燃料投棄ののちに緊急着陸をしましたが、その際、地上に燃料が降り注ぎ、30人ほどの人が体調の不具合を訴えたとの出来事がありました。



燃料の投棄は通常の手順の沿っていたとのことですが、気象や様々な条件によってこのようなこともあるのでしょう。

羽田でも新ルートが新設されましたが、頭の上を飛行機が飛んでいる街ではいろんなことに気を使わなければなりません。

それでも、緊急事態を回避し、安全に着陸したのであればそれが何よりだとも思います。

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