現在、日本の法律で定められている刑罰は大きく次のように分類されます。


行為者の生命を奪う生命刑

行為者の自由を奪う自由刑

行為者の財産を奪う財産刑


そして、生命刑として死刑、自由刑として懲役・禁固、財産刑として罰金・科料・没収(付加刑)がそれぞれ定められています。



世界中、そして歴史上にはそのほか、身体刑、追放刑、名誉刑に分類される細かい刑罰が数多く存在します。

そしてどの国にも、犯した罪に対してどのような刑が執行されるのかは法令により明確な規定があります。

しかし、刑罰は何のために存在し、なぜ行為者に対して刑罰を執行してもよいのかという議論に対する明確な回答は、古今東西どこにも存在していないようです。



「目には目を」で有名な古代バビロニアのハンムラビ法典(紀元前1750年頃)からさかのぼることさらに350年、メソポタミア文明のウル第三王朝で定められたウル・ナンム法典には、すでに殺人や窃盗、農地を荒廃させるなどの罪と、それらの罪に対する刑罰が明記されていたといいます。

しかし、罪と刑罰の法制化を待たずとも、人間の文化史において報復的な制裁や私刑が実行されたのはおそらく、地球上に文明が誕生するよりもずっと以前、人類が社会性を身に着けた元始の時代にまでさかのぼるのではないでしょうか。



刑罰は行為者の生命や自由、財産を国家が合法的に奪う行為と言えます。

長年、法学者によってその行為を正当化するための議論はなされてきましたが、刑罰の目的は現在、つぎの3つの要素を併せ持つとされています。


1.報復 : 読んで字の如く

2.一般予防 : 刑の執行を社会に周知することで一般的に罪の再発を防ごうとすること

3.特別予防 : 行為者に制裁を加えることで行為者自身に再犯防止をうながすこと





2018年6月9日、神奈川県内を走行する新幹線の車内で3名を死傷させた小島一朗被告(23)。

「刑務所に入りたかった」「無期懲役をねらっていた」「もし出所すればまた人を殺す」などとあまりにも身勝手な供述を繰り返していた被告に対し、横浜地方裁判所は12月18日、無期懲役を言い渡しました。



『控訴しません。万歳三唱します。』


判決を言い渡された被告は証言台の前で立ち上がってこう言い、大声で万歳三唱を繰り返したと言います。



この被告にとって、最も重い刑罰とはなんだったのか。

この判決は、この事件に対する報復、予防の概念を満たしていると言えるのか。


被害者のご家族の気持ちを考えるとやり切れません。

これから長年にわたって服役することになる23歳の小島被告。

なにを考えて生きていくのでしょうか。


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けったくそわるい。