密輸にもいろいろとありますが、今日は日本向けに運び込まれる貨物が虚偽の申告や無申告で入ってくるような事例ではなく、国連安保理で経済制裁として輸入を禁じられている貨物の密輸のケースを見てみます。
極東のとある半島に、核実験を繰り返すがゆえに国連から奢侈品の輸入が規制されている国があります。
しかし、その国の国家元首はドイツ製の高級車に乗っています。
一体どうやって、国連によって輸入が禁じられているこの車を持ち込んだのでしょうか。
この車の輸送経路を調査したのは、アメリカ、ワシントンに拠点を置くC4ADSという調査機関です。
綿密かつダイナミックなC4ADSの調査レポートを見ると、驚くべきその手口がわかります。
この高級車は当初、オランダのRotterdamから船積みされ、中国の大連に到着しました。
当初の船積みはイタリアの会社から大連の会社宛てとなっていたようです。
ちょうどそのころ、大連のとある商社から大阪の中国系物流業者あてに一通のWeChatメッセージが届きました。
内容は、日本から酵素飲料を中国に輸入したいので、貿易代行を依頼したいとのこと。
日本でビジネスを展開する中国系物流企業は、貿易取引を簡便にするために商社機能をグループに持っていることが多く、この会社もやはり社長が商社を経営していました。
中国人同士のつながりは非常に強く、会ったこともない相手とWeChatだけで大きな取引をどんどん進めていくことは珍しくありません。
この社長も特に怪しむことなく、新たなビジネスになるならと、この酵素飲料の商売のために大連の商社との取引を進めることにしました。
ところがある日、大連の商社は、中国から大阪に高級車を輸送するので貿易代行を行ってほしいと依頼してきました。
さらに、大阪に高級車が到着したのちに、貨物は日本に輸入するのではなく釜山向けに積み戻してほしいとの依頼がありました。
果たしてその高級車は、釜山からウラジオストクを経て、貨物機で最終的に半島の北の国に到着することになったのです。
調査された輸送経路の詳細を見ると、この貨物の輸送は
Rotterdam - Dalian
Dalian - Osaka
Osaka - Busan
Busan - Vladivostok
Vladivostok - ???
という段階を踏んでおり、それぞれの区間で巧みにShipper / Consignee を切り替えることで貿易取引上の規制にかからないように手を打っています。
そして、積み替え拠点たる、Dalian, Osaka, Busanには、やはりその輸送をサポートする協力者がいると考えるほうが自然でしょう。
この大阪の会社は、知り合いから仲介された大連の貿易商社のビジネスに端を発した一連のやり取りは全く意図されたものではなく、利用されただけだと主張しています。
実際、このC4ADSの発表以降、銀行や取引先からも大きく信用を失い、事業に大変なダメージをこうむっています。
この社長の主張が正しいのかどうかは判断がつきませんが、我々物流業者が学ばなければならない教訓は、知らない相手からの依頼は受けない、ということに尽きます。
だいたい、現地から詳細な説明なく急ぐだけ急がされるような依頼にろくなものはありません。
まして、知らずに犯罪行為に加担したことにでもなってしまうと、それが意図的でなかったとしても会社の信用は大きく失墜し、周囲の仲間や協力会社にも迷惑をかけてしまうことになります。
急ぎの件でも内容を十分に吟味し、慎重に状況を判断して案件を進めることが何より重要です。
安易な利益や物量に飛びつかないように注意しましょう。
極東のとある半島に、核実験を繰り返すがゆえに国連から奢侈品の輸入が規制されている国があります。
しかし、その国の国家元首はドイツ製の高級車に乗っています。
一体どうやって、国連によって輸入が禁じられているこの車を持ち込んだのでしょうか。
この車の輸送経路を調査したのは、アメリカ、ワシントンに拠点を置くC4ADSという調査機関です。
綿密かつダイナミックなC4ADSの調査レポートを見ると、驚くべきその手口がわかります。
この高級車は当初、オランダのRotterdamから船積みされ、中国の大連に到着しました。
当初の船積みはイタリアの会社から大連の会社宛てとなっていたようです。
ちょうどそのころ、大連のとある商社から大阪の中国系物流業者あてに一通のWeChatメッセージが届きました。
内容は、日本から酵素飲料を中国に輸入したいので、貿易代行を依頼したいとのこと。
日本でビジネスを展開する中国系物流企業は、貿易取引を簡便にするために商社機能をグループに持っていることが多く、この会社もやはり社長が商社を経営していました。
中国人同士のつながりは非常に強く、会ったこともない相手とWeChatだけで大きな取引をどんどん進めていくことは珍しくありません。
この社長も特に怪しむことなく、新たなビジネスになるならと、この酵素飲料の商売のために大連の商社との取引を進めることにしました。
ところがある日、大連の商社は、中国から大阪に高級車を輸送するので貿易代行を行ってほしいと依頼してきました。
さらに、大阪に高級車が到着したのちに、貨物は日本に輸入するのではなく釜山向けに積み戻してほしいとの依頼がありました。
果たしてその高級車は、釜山からウラジオストクを経て、貨物機で最終的に半島の北の国に到着することになったのです。
調査された輸送経路の詳細を見ると、この貨物の輸送は
Rotterdam - Dalian
Dalian - Osaka
Osaka - Busan
Busan - Vladivostok
Vladivostok - ???
という段階を踏んでおり、それぞれの区間で巧みにShipper / Consignee を切り替えることで貿易取引上の規制にかからないように手を打っています。
そして、積み替え拠点たる、Dalian, Osaka, Busanには、やはりその輸送をサポートする協力者がいると考えるほうが自然でしょう。
この大阪の会社は、知り合いから仲介された大連の貿易商社のビジネスに端を発した一連のやり取りは全く意図されたものではなく、利用されただけだと主張しています。
実際、このC4ADSの発表以降、銀行や取引先からも大きく信用を失い、事業に大変なダメージをこうむっています。
この社長の主張が正しいのかどうかは判断がつきませんが、我々物流業者が学ばなければならない教訓は、知らない相手からの依頼は受けない、ということに尽きます。
だいたい、現地から詳細な説明なく急ぐだけ急がされるような依頼にろくなものはありません。
まして、知らずに犯罪行為に加担したことにでもなってしまうと、それが意図的でなかったとしても会社の信用は大きく失墜し、周囲の仲間や協力会社にも迷惑をかけてしまうことになります。
急ぎの件でも内容を十分に吟味し、慎重に状況を判断して案件を進めることが何より重要です。
安易な利益や物量に飛びつかないように注意しましょう。
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