中国アリババグループの創業者、ジャック・マー氏が9月10日をもって会長職を退任すると発表しました。
マー元会長は9月10日で55歳。
若き日は、北京大学の受験に失敗し、杭州師範大学を卒業後、教師として7年ほど教壇に立ちました。
そして、いくつかの職を転々としたのち、1999年にアリババを創業しています。
当時はまだ日本でもEC(Eコマース)という言葉に馴染みのなかったころですが、マー会長の先見の明は確かで、明確な将来へのビジョンと新たな商流を造りだすという具体的なビジネスプランのもと、創業の翌年にはソフトバンクの孫会長より20億円の融資を取り付けています。
マー会長はYahooの中国事業を買収し、ITにも力を入れていきます。
ちょうど同じころ、中国でもネットやスマホがインフラとして不可欠なものになってくるのにあわせ、順豊エクスプレスのような中国全土をカバーする宅配ネットワークも整ってきたことから、マー会長はECの発展に向けた大仕掛けを立ち上げます。
それは、W11(ダブルイレブン)。
もともと11月11日は独身の寂しい人たちが集まってパーティを開くという「独身の日」という記念日(?)でした。
マー会長は、寂しい独身者たちに対して、11月11日はネットでショッピングすることを呼びかけ、自社のサイトで大々的なセールを行ったのです。
開始当初は穏やかなものでしたが、昨年の11月11日、たった1日のネットでの売上総額は2135億元(約3兆5千億円)だったそうです。
マー会長の起こした大きな流れは、その後の世の中を大きく変革するものが多くありました。
自身が手掛けたECサイトのみならず、AliPayなどのキャッシュレス支払いの仕組みは爆発的に中国に広がり、みんなお金を持って歩くことがなくなってしまいました。
そして、越境ECや物流システム、SCMの最適化や輸送資源調達の予測など、AIの発展にもECがその一翼を担っていることは間違いありません。
いまやキャッシュレス決済が当たり前になり、何でもスマホで注文でき、労働力や車のような公共の資源をITの力により共有することのできる時代です。
中国という巨大な市場に購買力という超強力な武器を持たせたのはマー会長だったのかもしれません。
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