国際物流の仕事に従事していると、航空貨物でも海上貨物でも、いわゆる一般消費財を取り扱う機会は非常に多いですね。

特に、百円ショップなどで売られる雑貨品やアパレル、ホームセンターや大型の家具店などで取り扱われる、いわゆる小売りのための完成品の輸入は、輸送手配や通関、配送や倉庫でのハンドリングはフォワーダー業界の一大マーケットと言えます。

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このような業界は季節商材の取り扱いも多く、繁閑の差がはっきりしている場合が多いため、だいたい半年に1度くらいのペースで物流企業に対して入札を開いたりします。
日本での調達物流はFOBでの輸入が比較的多く、そのため日本の企業の調達部門や物流管理部門が独自に入札を開示することが多いように思います(私の肌感覚です)。


家具などは特にそうですが、物量が多く、また商品単価も安価な貨物はとにかく運送コストを下げることしか荷主さんは考えません。

それでいて、港ないしはコンテナを一時的な倉庫代わりに運用するための3週間~1か月という長期フリータイムを要求したり、同時に直行便やトランジットタイムの速い航路を指定してきたりと、業者側から見れば非常に大雑把な管理を行っているように感じられます。

とにかく条件は幅を持たせて、余裕を持った計画が立てられるように、不測の事態でもコストに影響しないように構えておくことが荷主さんの使命といったところでしょう。
また、我々にとっては厳しいことですが、物流の管理や改革を、我々業者にとにかく安い運賃を提供させることと考える荷主さんも時々いらっしゃるかもしれません。


欧米ではフォワーダーが主導して、SCMのIT化が早くから進められてきました。

いろいろな企業で特色ありますが、SCMのツールの要件は、

PO管理
ブッキング管理
輸送のトラッキング
書類管理
通関、配送管理
オプションとしてWMSとの連携などの倉庫管理

といったところでしょう。

発注と在庫管理のデータを見える化することによって、在庫を最適化し、コストを圧縮することと、数多のSKUや世界中に散らばったサプライヤーの管理をシステム化することが大きな目的となります。


SCMツールを開発しているフォワーダーにとって、SCM部門の売り物としてはまずコンサルティングですが、あとはこのすでにプラットフォーム化されたシステムの使用料を徴収することと、自社運送部門の輸送案件を獲得することが使命となります。


欧米の荷主のSCM部門では、このようなツールを利用した物流の見える化とシステム化が早い段階から進められてきました。

ところが、日本ではまだまだこうした物流のデータに費用を投じようとする荷主はあまり見受けられません。


筆者の考えでは、従来の日本の調達物流において、このようなPOやブッキング管理、トラッキングや書類管理などは、荷主の事務所に駐在した乙仲さんやフォワーダーのスタッフがこのような業務を無料で商慣行的に行ってきたからではないでしょうか。

もしくは、このような業務にあたる物流スタッフが専属で荷主さんにいたりしますよね。


このようなマーケットの中で、SCMツールの費用を上乗せされた海上運賃、航空運賃を提示する外資系フォワーダーは、専属CSスタッフを無償でアサインする日系フォワーダーに苦戦しているに違いありません。


しかし今後、人手不足が社会問題化される中、このような物流管理の業務も徐々にシステム化され、プラットフォームを構築したフォワーダーに委託されていく時代が来るでしょう。

我々は物流マンとして、情報やサービスは無料ではないこと、そしてネットワークを持つプロだからこそできる仕事があることをアピールしていくべきだと考えています。