2019年2月1日午前0時、日欧EPAが発効しました。
これにより、世界のGDPの約28%を占める巨大な自由貿易圏が生まれたことになります。


2018年7月に安倍首相とトゥスク大統領によって調印されたこの協定は、長年の交渉と調整の結果成し遂げられた偉業です。
今後、段階的に輸入時の関税が撤廃され、最終的には日本で94%、欧州で99%の品目の関税がなくなることになります。
農産品や工業製品など、消費者に直接関わり合いの深い物品が多く流通しており、我々の普段の生活でもその恩恵を感じる機会は比較的身近にあるかもしれません。

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EPAとは、Economic Partnership Agreement (経済連携協定)の略称で、いま日本で発効しているEPAは、シンガポール、メキシコ、チリなどをはじめ17個。
そのすべてが2000年以降に発効しており、経済連携という概念が比較的最近になってから活発に実現されてきたことが分かります。
関税の撤廃による貿易の活性化は国内産業にとっては諸刃の剣でもあり、戦後の内需拡大、保護主義的な時代には到底実現できることではありませんでした。
世界の中、そして地域の中での日本の立ち位置と役割を果たすうえで非常に重要な経済政策のひとつであるEPAの発行ですが、今回の日欧EPAの発行はひとつの大きな区切りをつけた出来事のように思えます。


関税を支払うのは貨物を輸入するときです。
EPAが発効されてからの該当地域からの貨物の輸入については、その対象地域の産品である証明書(原産地証明書)の内容をもとに、決定された関税率によって関税が決定されます。
こうしたEPAの対象国からの関税率については、即時撤廃されるものから段階的に税率が下げられるものまで様々な決め事があり、輸入通関をおこなう通関業者にとっても正しい手順で手続きを行うにはなかなかの緊張感が求められます。

今回の日欧EPAについては、個別の国が対象ではなく、「EU産」という括りで対象物品の選別を行うようで、書類の精査にはある程度の試行錯誤が求められそうです。

いろいろと調べてみましたが、JETROにこのような資料がありましたのでリンクを貼っておきます。

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特定の2国間や地域間の貿易促進のために関税を撤廃する経済政策には、FTA(Free Trade Agreement : 自由貿易協定)というものもあります。
EPAの場合、FTAのような貿易取引にとどまらず、金融や保険、人的サービスや知的財産権についても広く障壁をなくし、自由な経済活動を促進する内容となっています。

日本ではまだまだ締結、発効を模索している経済連携協定もあります。
そのひとつが環太平洋連携協定(TPP)です。
トランプ大統領が就任直後に脱退を表明したことで有名になりましたが、これも一つのEPAです。

貿易の中で生きている日本、我々はその最前線に立つ物流マンなのです。