都心上空を飛行する羽田新ルート、在日アメリカ軍と横田空域通過で合意


 政府は1月30日に、都心上空のいわゆる「横田ラプコン」と呼ばれる米軍管制空域の一部を日本の民間機が通過することについて合意を得たと発表しました。
2020年の東京オリンピック、パラリンピックの開催を控え、国土交通省ではかねてより羽田空港に発着する国際線の増便を実現するために飛行経路の見直しを検討していましたが、これにより現在1日80便程度の国際線便数を約130便にまで拡大することができるといいます。

今後、実際にこの空路の運用が開始されるまでに騒音や安全性に関する説明がなされることになりますが、この民間航空機による「横田ラプコン」の通過は、実は非常に画期的な決定なのです。


現在、日本では札幌、東京、福岡、那覇の4つの航空交通管制部により、管轄する空域を飛行する航空機を監視し、必要な情報や指示を与えて航空機の円滑で安全な運航を管理しています。
基本的に日本の領空を飛行する航空機の安全運航を管理することが目的なわけですが、実は日本の土地の上でも自由に飛行できない空域があります。

それが横田Rador Approach Control,略して横田RAPCON(横田ラプコン)なのです。

キャプチャ



横田ラプコンは首都圏の1都8県にまたがる広大なエリアに広がり、基地上空での最大高度は7000メートルにまで至ります。

申請して許可を取得すれば米軍の管制下で空域を通過することは理論上可能ですが、許可が下りるかどうかは基準も開示されてないうえフライトごとの申請が必要なため、実際には横田ラプコンを回避せざるを得ません。

羽田空港に離発着する航空機が不自然に房総半島のほうまで大回りしたり、急角度で旋回上昇をして太平洋に抜けていくのは、実はこうした理由があったためです。


横田基地・厚木・座間基地や横須賀をすっぽりと覆い隠すこの横田ラプコン、今後は国土交通省により詳細な空路設定と空路を通過することになる周辺地域への説明が行われることになると考えられますが、いままでには考えられなかった体感距離で都心上空に飛行機が見えるようになる日も遠くありません。

賛成意見ばかりではないでしょうが、ここはひとつ、日本の安全運航管理能力を信頼して行く末を見守ってみましょう。