IWC(International Whaling Commission / 国際捕鯨委員会)は、国際捕鯨取締条約に基づき、鯨資源の保存および捕鯨産業の秩序ある発展を図ることを目的として1948年に設立された国際機関です。
イギリスのケンブリッジに事務局を置き、現在89か国が条約に加盟。
日本は1951年より参加しています。

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政府は12月20日、IWCを脱退する方針を明らかにしました。
正式に事務局に対して脱退を通知すると、来年6月末をもってIWCを脱退することになります。

これによって、南極海での調査捕鯨や将来的な商業捕鯨再開への道は閉ざされることになりますが、日本の排他的経済水域(EEZ)での商業捕鯨は再開できることになります。


日本の捕鯨の文化は古く、縄文時代から鯨食が食生活を支えていたことを裏付ける発見がされています。
また、近代に至るまで捕鯨の文化は発展し、食用のみならず皮や骨、ひげなど、ほとんどすべての部分を様々なことに利用してきました。

IWCに加盟して世界的な捕鯨に対する風潮のなかで調整を続けながら商業捕鯨再開の働きを長年続けていましたが、近年ますます反捕鯨の色が濃いIWCのなかで、四分の三の賛成がないと議決されない会議に参加してもこれ以上の進展がないと判断したことになります。


年内には政府から正式にIWCに脱退の通知がなされることになると思いますが、今回の決定に関しては、日本国内でも賛否両論あるようです。
捕鯨再開を歓迎する漁港や文化の伝承を唱える方々もいれば、食料や素材確保の観点からも、もはや商業捕鯨再開の意味合いは弱く、国際的立場を悪化させるデメリットのほうが大きいと言う方もいらっしゃるでしょう。

また、そもそも鯨食自体の必要性や嗜好についても、一世代違うだけで大きく意見は異なると思われます。


様々な政治的・経済的な背景を持ちながら、倫理観や道徳観を唱えることの多い捕鯨問題。
特定の団体による過激な反対運動や、扇動的ともいえる宣伝活動も取りざたされることもあり、ちょっとした情報の偏りで多くの人々はあえなく社会に働くちょっとした方向付けの意図に従わされることになるでしょう。


どちらが正しいのかは分かりません。
双方の意見をきちんと理解して、自分で正しく判断する努力を続けなければなりません。
「ザ・コーヴ」あれば「ビハインド・ザ・コーヴ」有り。


筆者が思う点は二つ。


トランプ大統領の勢いに世界が振り回され、保護主義を正当化する動きが広がっているように思えますが、日本政府には冷静な政治判断をしてほしい、ということ。


そして、鯨食については肯定も否定もしません。
食べれば美味しいですが、どうしても食べないと困るというものでもないのは事実。
ただ、倫理観から日本人を攻められることは誤りだと感じています。
「賢いから」食べない、「賢くないから」食べる、という文化は日本人は持っていません。
全ての命は平等に、命を頂いて自分が生きていくことを感じている人が住む国です。
「いただきます」という言葉には、その思いが込められているはずです。