今年9月3日に関西地方に上陸し、大きな爪痕を残した台風21号。

様々な場面での緊急・臨時対応を否応なく取ることとなり、たくさんの教訓を得ることが出来ました。


しかし、振り返ってみると、臨時対応策はあまりにも場当たり的で、自然から与えられた影響はあまりにも想定外でした。


物流業界に身を置いているとよく感じることがありますが、局所的に発生した緊急事態に対して、日々動き続けている大きな流れを止めることは非常に困難です。
そして、瞬間的に発生した大量のバックログ = 貨物の滞留 = を解消するためには、限られたリソースの中で非常に長い時間を要します。


今回、想定外に猛威を振るった台風21号は、関西空港の国際貨物地区を完全に停止させてしまいました。
ところが、ニッポンのオオサカの台風が何するものぞと、海外からは普通通りに貨物が流れてきます。
そして、その受け口として成田・羽田を中心とした日本の国際空港貨物地区に大量の貨物が流れ、上屋や通関業者、トラック会社に至るまでが二次災害ともいうべき大量の貨物の渦に巻き込まれ、日本全体の物流がマヒする事態を巻き起こしました。


平時、コスト削減を常に考えながらリソースを配置したり業者に業務委託する我々にとって、即時緊急対応を取ることが出来る体制をもつことは非常に困難です。
バックアップの業者をいくつか選択肢として持っていたとしても、今回のように影響が広範囲に及ぶとどの業者も状況は同じです。

正直、会社としての備えとして有効に機能したと言えるのは緊急連絡網くらいのことで、そのほかの事態に対しては対症療法を取っていくことしかできませんでした。


そんな中、非常事態ともいえる約3週間の間、会社としての機能を支えてくれたのはやはり現場のスタッフたちでした。

会社が思い描いた対応策に対して、予測以上に自発的な判断と行動をとり、そしてこちらが言い出す前に無理をしてくれたスタッフたちがいたからこそ、この不測の事態を乗り切れたものと感謝しています。


今回の災害で幸運だったのは、社内においては人的被害が皆無だったことです。


常日頃から訓練された現場のスタッフたちに大きな方向性と向かうべきゴールを与えることで、自ら方法を考えながら進んでいくことができたのは我々にとって大きな財産となる教訓となりました。


Contingency Planを作成しても、マニュアル通りに事が運ぶかどうかは膨大なテストと検証が必要です。
それでも案を作成することは組織の義務ですが、何より必要なのは迅速な情報収集と素早い判断、そして信頼できるスタッフなのだということを痛感した出来事でした。

組織は、そのような現場スタッフたちにこそ誠意を示すべきです。

sora06132