代購という言葉をご存知でしょうか。


中国語で「Daigou」、日本語でひらたく言うと代理購入のことを指します。


以前に中国向け越境ECのことを書きました。
この代購、特に我々の業界ではおもに中国向け越境ECの輸出を指しています。


中国での個人向け輸入通関制度の改定により以前のような爆買いは少々なりを潜めた感はありますが、ブランド商品や電気製品に限らず、日本人が日常的に購入する消耗品、たとえば衣服や靴などの日用品、化粧品や処方箋無しで購入できる医薬品、サプリメントなどの健康食品や紙おむつ、粉ミルクなどが人気です。

そして、中国に住んでいる人たちが日本の日用品を手に入れる方法の主流といえば、ネット通販でも輸入雑貨店を訪れることでもなく、この代購なのです。


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日本にはたくさんの中国の人がいます。
旅行者もいれば仕事で滞在している人もおり、学生もいます。


そういった日本にいる人たちに、時にSNSを利用した個人的なつながりで商品の購入を発注し、送付を依頼する方法、それが代購です。


個人的に中国版LINEとも言えるWeChatやWeiboなどで商品を宣伝し、注文を受けたら代わりに購入し、送料とともに商品代金をSNSで回収したのちに発送します。

個人レベルで行うという話も聞きますが、こうした個人レベルの代購を取りまとめて発送する業者さんも多く存在します。
大阪の心斎橋など、ドラッグストアが集まっている界隈には、持ち込みを受け付けるこうした業者さんも乱立しています。


転送屋さんとか、梱包屋さんなどと呼んだりしますね。


また、組織として代購を大掛かりに行う会社もあり、そのような場合は日本のネット通販を利用して商品を効率的に集めたりもします。


代購の貨物を輸出すること自体は法律的に何の問題もないのですが、やはり問題となるのはその「取りまとめられた」インボイスの情報の精度ですね。
いざ通関にかかると、摩訶不思議に訳された商品名に悩まされたり、数量や価格が曖昧だったりすることも多いと聞きます。

また、以前にも書きましたがワシントン条約に抵触したり危険品に該当する物品が入っていたりすることもあります。


比較的通関が簡易なエクスプレスやEMSを利用することが多いようですが、何十カートンという物量にまでなるとインボイスが十数枚、アイテム数が100以上ということも珍しくないようで、通関業者泣かせと言えます。

最近はJANコードを利用して商品情報や商品名の英語化、価格情報のデータベース化を行っている業者もあるようですが、まだ統一された手法は確立していないようで、暗中模索。
それでも物が流れていくところが中国の購買意欲のたくましさでしょうか。


しかし、通関時に問題が発生したところでインボイス上の輸出者はあくまで取りまとめ役、その商品を実際に中国に送ろうとした人はすでに国に帰っていたなんてことになれば通関業者としてはなかなか辛いものがあります。


日本の国際物流業者でも、このインバウンド需要と代購物流の凄まじさを垣間見て、参入を画策しておられる方もいらっしゃるかもしれません。

間違いなく中国の個人消費は伸び、日中の越境ECはますます伸びる。
しかし、いったいどこにアプローチすればこの物流を扱えるのか。


筆者には、魑魅魍魎の世界に見えます。