段ボールとは、波状に加工した紙の上下をライナーと呼ばれる平らな紙で挟んだ板のこと。
そして、段ボールで作られた箱のことを段ボール箱と言います。

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段ボールが生まれたのは19世紀のイギリス。
当時は梱包のためではなく、紳士がかぶるシルクハットの内側で帽子の形を保ったり、汗を吸い取るためのものでした。

この段ボールが輸送のために使われるようになったのは19世紀後半のアメリカ。
1879年にエジソンが白熱電灯を発明してから徐々に電灯が全米に普及し始めた時代に、電球を輸送する際の緩衝材として使われたのでした。


日本では1909年、井上貞治郎が初めて段ボールの事業化に着手しました。
貞治郎こそ、現在の段ボール製造大手レンゴーの前身となる
三盛舎を設立し、苦心の末に完成した製品に「段ボール」と名付けた段ボールの父ともいうべき人物なのです。

ちなみに英語では、一般的には Cardboard Box とか Corrugated Cardboard Box と訳されますが、運送業界で通常段ボール箱のことは Carton = CT と呼べば十分ですよね。


三成社と名を変えたこの会社は、電球や陶磁器の梱包などの需要を足掛かりに順調な事業拡大を進めていき、1930年代には朝鮮や満州、台湾にも工場を建設しましたが、二次大戦により日本国内の工場の多くは焼失し、また海外の工場は接収されてしまいました。

しかしその後、日本にわずかに残った工場で事業を再開し、1950年の朝鮮戦争で爆発的な需要を得た段ボール箱は、当時まだ木箱が主流だった国内貨物の流通にもだんだんとシェアを広げ、押しも押されぬ物流業界の主役にあっという間に登りつめたのです。


今では二重、三重に加工されて木箱と遜色のない段ボール箱やパレットとして使用されるもの、防水加工のされたもの、防錆や防虫、静電防止効果のあるものなど、現場でも外装梱包としても様々な段ボール箱を目にします。
また、内装梱包としても、非常に複雑な折り紙のような梱包材で内部の電気製品や部品を保護し、貨物輸送の軽量化やコスト削減に大きな役割を担っています。

さらに、段ボール箱の材料の98%はリサイクルによるものと言われています。
地球環境保護が声高に叫ばれる昨今、段ボール箱無しの物流業界はあり得ないと言っても過言ではありません。


段ボール箱の普及とコスト削減に大きな影響を与えているのはその折り曲げ加工と裁断の精度。
薄い紙で作る折り紙と違い、段ボール箱は紙の厚みを無視しては立体構造の設計はできません。
折り型や正確な打ち抜き技術無くして、丈夫で軽くリサイクルしやすい段ボール箱は無いのです。



先日、子供と一緒にニンテンドーラボを製作しましたが、その段ボールの設計と加工の精度には非常に驚かされました。
カッターナイフも入らない切り目が入れられた部品の台紙からは子供の指の力だけで簡単に部品を外すことができ、ほぼ間違えることのない折り型に沿って折り曲げ、穴に爪を差し込みだけで見事な工芸品(と言ってもいいと思いました)が完成します。
動作精度や強度も十分です。
(工数の多さにはくじけそうになりましたが)


ひょっとしてと思い、ネットで調べてみたらやはりそうでした。
さすがです。

レンゴーが任天堂に「ラボ」向け段ボール供給、来週発売-関係者