関西空港国際貨物地区の復旧が少しずつ進んできましたね。
JL上屋での取り扱い航空会社を中心に、だんだんと貨物受諾が進んできました。
被害の程度には上屋によって差がありますが、少しずつ以前のような活気を取り戻すのが楽しみです。


一方、以前にも書きました、関空被災に伴う成田空港での貨物集中による二次災害。
9月16日付で外地で配布された大手航空会社による成田向け貨物のEmbargo(Booking停止)につづき、とうとうもう一方の大手航空会社上屋では、輸入貨物取り扱いの一時停止が発表されました。

今朝の成田空港のとある大手上屋には、なんと解体前のULDが約400枚仮置きされていたそうです。
そのためULDが不足し、輸出貨物の取り扱いにも影響が出ているとのこと。

輸入を取り扱う通関業者としては、貨物がエアライン上屋で解体されて搬入されない限り手も足もでません。
実のところ、通関しても通関しても増えていく案件に囲まれた日々が続くなか、ちょっと一息つけたということもあるかもしれません。
お客様への説明は大変ですが・・・


キャプチャ


というわけで、今日の話題はULDです。


ULDとは、Unit Load Device の略で、航空機に貨物を積み込む際に使用されるコンテナやパレット、イグルーなどを総称してこう呼びます。

かつてはバラ積みが主流だった航空貨物の搭載方式も、最近では多くの場合、貨物が積み付けられたULDが航空機に搭載され、固定されます。

また、航空機のスペースもこのULD単位ではかられることがおおく、たとえばボーイング747のフレーター(貨物専用機)のメインデッキにはなんと30枚もの96’’125’’ULD(96インチ x 125インチサイズのパレットのこと = 業界の人はクンロクと呼びますね)が搭載でき、ロワーデッキのスペースも使用すると約130トンもの貨物を一度に運ぶことが出来ます。


航空会社にブッキングされた貨物は荷主(多くの場合はフォワーダーでしょう)の手により通関、爆発物検査、MAWBの発行などの所定の手順を踏み、エアラインの輸出上屋に搬入されます。

エアライン上屋ではそれをULDに積み付け(ビルドアップ)、ULDごとに検量しフライトごとのロードプランを作成し、ULDを航空機に搭載します。

エアライン上屋でビルドアップされるULDは、数社の貨物が混載されていることも多いですね。

エアライン上屋から航空機まではドーリーと呼ばれるULD搬送用の台車にULDを乗せ、トーイングトラクターでブーンと引っ張って走っていきます。
飛行機に乗り込んで窓の外をみると、ドーリーを何両も連結したトラクターが走っているのを見かけることがあると思います。
そして、ハイリフトローダーで航空機に乗せられたULDは、プランの通りに所定の位置に積みつけられ、ロックされます。

また、荷主(フォワーダー)の上屋でフォワーダーの手によりULDに積みつけられ、エアライン上屋に搬入される場合もあります。
これはインタクトといい、定期的に決まった物量の取り扱いのある荷主にとっては、運賃面や場合によってはカット時間に融通が利いたり、到着したらエアライン上屋を介さずそのままフォワーダーの上屋に引き込んで解体するなど、輸送時間の短縮にもつながる便利なものです。


前述のULD400枚、これは一般貨物用におもに使用される88’’もしくは96’’のパレットのことを差しています。

今日は夕方から雨でした。
あまり言いたくないですがこういう場合、輸入貨物では特に航空会社上屋での漏損もしばしば発生します。
(ちなみに日本からの輸出のビルドアップの際はビニールを二重にかけ、ほとんど水漏れはありません。どこの上屋さんも世界一と言ってよい丁寧な仕事をされていると思います。)


輸入のULDが解体されないと輸入貨物の通関、引き取りの手配が進まないだけでなく、輸出のためのULDが不足するという事態も招きます。

ついに不本意ながら強硬手段を取らざるを得なかった航空会社、文句も言いたくなりますが現場の人たちは大変です。

業界の一員として、また荷主として最適な手段は何なのか。何だったのか。

関西空港の復旧とともに、成田空港の異常事態も早く解消することを願います。