昨日あたりから、関西空港内の輸出エアライン上屋からの情報が少しずつ入ってくるようになりました。


当社でもまだ9月3日に仕立ててエアラインに搬入した輸出貨物が何件かあり、エアラインから貨物の状況報告が来るのを待っていました。

こういう場合、貨物はすでに輸出許可済みでありエアラインに引き渡しているわけなので、上屋業務が再開され、貨物のコンディションが悪くなければ知らないうちに飛んで行っている場合もあります。

実際、LD3で仕立ててKEに渡してあった貨物など、幸いにも水没を免れ、上屋の業務再開も早かったため9月の11日ごろにはエアラインによるRFS(ロードフィーダーサービス)により成田から搭載され、あとから気付いて驚いたものです。


しかし、NH, JL, SPJに預けてあった貨物は残念ながらどの貨物も水濡れによる損傷がひどく、エアラインから返却の意向を知らされました。


キャプチャ


お客様には国際貨物地区の状況を知らせ、現場の復旧作業が困難であること、また輸出上屋のほうが高潮被害が大きかったことなどを伝え、ご理解いただいたうえでお待ちいただきましたが、残念な結果となってしまいました。
我々はエアラインから貨物を引きとり、お客様に返送することを決定しました。


こうした場合、貨物はすでに輸出許可済みの外国貨物なので、再び内国貨物にしないとお客様にお返しすることができません。
この場合、通関業者は「輸出取止め再輸入」という手続きを取ります。
輸入とは言え、この手続きは検査や書類提出は省略され、また無条件免税が適用されます。

今回の場合は自然災害に見舞われ、航空機に積み込まれる前に貨物が価値を失ってしまうという稀有な事態でしたが、本来は売買契約がキャンセルされたり、仕向国の輸入者が貨物を受け取る能力を失ったりした場合のために用意された制度です。

豆知識ですが、貨物が一度航空機や船舶に搭載されてしまうと、一般的な輸入手続きが必要となります。

同じ外国貨物でありながら「やっぱり輸出やーめた」となった場合に手続きが違う理由は、財務省が取り仕切る関税法上の輸入と、経済産業省が取り仕切る外為法上の輸入の解釈が異なることに起因します。
日本の国土上にある保税地域から貨物を引き取る場合と、物理的にも検疫的にも外国とみなされる航空機や船舶から貨物を引き取る場合とでは手続きが大きく異なる、ということですね。


いずれにせよ、残念な結果ではありましたが、われわれの貨物を流失なく返却いただいた上屋の方には感謝するばかりです。

まだ電気すら復旧せず、フォークリフトやトーイングトラクター、ULD用のフロア計りも全損している上屋もあると聞きます。

明日21日より関西空港では「フライトスケジュールは通常に戻ります」となっています。
また、JL上屋取り扱いのエアラインを中心に、貨物受諾を再開するフライトもたくさんあるようです。

しかし、フレーターの再開はまだしばらく先、そして先述のエアライン上屋さんの業務再開もまだ先になりそうです。

このブログでも繰り返し書いてきましたが、貨物地区の復旧にももっと世間の目を向け、応援していただきたいと思います。
少しずつ貨物地区の報道も増えているように見えてきました。
報道や世論が少しでも現場で働いている皆さんの後押しになることを祈ります。