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中国向け越境ECが盛んですね。

今日は我々物流業者からみた中国向け越境ECの色々なパターンとメリット、問題点について触れてみたいと思います。


越境ECとは、国境をまたいだ物流ルートを利用したEC(E-Commerce)のことですが、その貿易形態には様々な形があります。
特に中国向け越境ECはその購買意欲と日本製品への人気、独特の調達ルートなどから、かなり特殊な分野と言えます。


物流業者からみた越境ECは、大きく分けて B to B と B to C に分類されます。
これを販売業者の目線からおおまかに言い換えると、

B to B → 自社の倉庫間移動(そののち発注情報に基づき中国国内貨物として出荷)
または、現地の販売代理店などに卸売り

B to C → 中国の消費者からのオーダーに基づき、直接日本から中国の消費者に向けて出荷

ここで注意が必要なのは、中国での輸入通関制度は、to Bとto Cの場合で税率も方法も大きく異なるということです。

法人向け通関の場合は(正式通関 = Type D と呼ばれる場合)、輸入者の貿易権や輸入する物品を取り扱う認可の確認など、なかなか手間暇がかかります。

一方個人向け通関の場合、大まかには税率は安いのですが一度に輸入可能な商品の価格に制限があったり、輸入通関時に身分証明書を提出しなければならなかったりと、これまた手間暇がかかります。


Eコマース業者がどちらの輸出形態を選択するかは様々なファクターによりますが、大きな材料となるのはコストです。


通関にかかる手数料は1件いくらと設定されているのが普通です。
B to Cの出荷の場合、直接配送手配を取れるためトランジットタイムを早めることは可能ですが、すべての出荷に対しての経費が発生します。
しかし、B to Bでの出荷の場合は、大量の出荷だったとしても1件あたりの費用は1件分のみです。

Eコマース業者としては、コストを下げたい、スピードも上げたい、中国の通関も簡易にしたいとあの手この手です。
フォワーダーを使ったり、エクスプレスを使ったり、EMSを使ったり。
中国で導入されつつある Cross-border E-commerce Retail Importsという個人向け簡易通関制度もありますが、まだ一般的ではありません。

あの手この手は結構ですが、中国向けEコマース業者には、書類の作成や梱包、輸出貿易管理令や危険品の知識、ワシントン条約規制物品などについてあまり知識のない方も多く、通関業者、フォワーダー泣かせの荷主さんも結構いらっしゃいます。

また、貿易会社として商売をしているお客様だけではなく、個人レベルの貿易代行や転送を行っていたり、その個人レベルの貨物を取りまとめる転送屋さんがいたりします。
中には、個人向けオーダーをまとめてB to Bと称するInvoiceを作成するお客さんもありますが、税関には輸出者と輸入者との取引の実態に基づく申告をすることが求められていますから、グレーな手法と言わざるを得ません。

輸出者としての責任や商品の説明能力など、期待することのできない場合も残念ながら時々ありますね。


中国個人消費むけのEコマース需要はまだまだ伸びつつありますが、物流業者としての最適解はまだ見つけられていません。
物量を獲得したい営業部門と、税関や航空会社に対してキチンと仕事をしたい業務部門のせめぎあいはもうしばらく続きそうです。