いまでも時々ロシア向けの貨物輸出についてお問合せを頂くことがあります。

 

日本とロシアの国交が断絶しているわけではありませんし、輸送ルートもいくつか残されている状況ではありますが、このような世界情勢のもと、どんなものをいくらでも輸出できるわけではないことは誰でも容易に想像できると思います。

 

では、ロシア向け貨物の輸出はいまいったいどのような規制が敷かれているのでしょうか。

 

 

日本での安全保障の観点からの輸出貿易管理については以前一度記事にしたことがあります。(リンク先の資料などは古いことがありますのでご注意ください)



 

日本の輸出貿易管理は主に外国為替及び外国貿易法、ならびにこの法律の規定を実施するために定められた輸出貿易管理令によって規定されています。

 

日本の対外政策決定はおおむね米国・EUの方針に従う形でなされておりますが、今回の一件を受けて日本政府が初めに閣議決定によりロシアへの措置をさだめたのは226日のことです。

 

その後、輸出貿易管理令の改正によって段階的に順次次のような措置が導入されています。

 

 

318日施行 軍事能力等の強化に資すると考えられる汎用品の輸出等の禁止

 

45日施行 奢侈(しゃし)品の輸出の禁止

 

520日施行 先端的な物品等の輸出等の禁止

 

617日施行 産業基盤強化に資する物品の輸出の禁止


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これらの情報は閣議決定当日付で交付され、その1週間後に施行されていますので、ロシア向け貨物を取り扱う荷主や業者は常に情報の更新に気を配り、即時対応をしなければなりません。

 

情報の更新は税関や経済産業省のホームページなどで確認することもできますが、税関は更新された最新の法令に基づいて審査を行いますので、運送会社や通関業者は「知らなかった」ということがないよう、プロとして常に最新情報を確認しておかなければなりません。

 

状況が長引くにつれてさらにさまざまな措置が決定されることも大いに考えられます。

 

事態の収束を祈りつつ、冷静に状況の把握するよう努めましょう。