2022年5月から6月にかけて、一部船社がTHCの値上げを発表しています。

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台湾系の船社を中心に値上げが発表され、追従する船社はまだまばらですが、今後どの程度業界への広がりを見せるのか気になるところです。

料率の変更はJPY400-450/TEU程度とあまり大きな額ではありませんが、主だった船社は2019年にTHCの値上げを行っており、こうした固定費の調整が頻繁に行われるのは荷主にとってあまり喜ばしいことではありません。




コンテナ運賃の指標の一つであるSCFIも2021年末をピークになだらかな下降線をたどっており、船社としてはマーケットが下落しても利益率の低下はなるべく最小限に抑えたいところ。

スペース供給をコントロールしながら長期高値のBCO契約、NVOCCのNAC契約を基盤とし、短中期のFAKを適度に織り交ぜながら、余剰スペースをWeb経由のスポット運賃で効率よくさばいていっているのが今の船社戦略のトレンドかと思います。


それでもマーケットの下落によって収益性を低下させるのは海運業界の常。


THCやDOC FEEなどの固定費収入を底上げすることで黒字体質を定着させることがいまの船社の大きな方向性と言えるのではないでしょうか。


ちなみにアジア各国からのONEのLOS ANGELES向け航路の40HC1本あたりの積み地THC(ONEでは CYR = CY RECEIVING CHARGEと言います)は下記の通りです。

日本の費用の高さは際立っており、港湾での原価の違いはあるとはいえ、日本航路の運賃収益性の低さ=航路誘致の競争力の低さを表しているのではないでしょうか。


(2022年5月10日時点での料率 / OANDAでの換算)

Tokyo : JPY 48,000

Shanghai : CNY 828 = JPY 16,106

Yantian : CNY 1,216 = JPY 23,653

Ho Chi Minh : VND 3,600,000 = JPY 20,484

Pusan : KRW 190,000 = JPY 19,466

Laem Chabang : THB 4,300 = JPY 16,249

Port Klang : MYR 690 = JPY 20,575

Jakarta : USD 145 = JPY 18,955

Singapore : SGD 365 = JPY 34,301