コンテナ不足とスペース不足、乱れた本船スケジュールと運賃高騰。
日々更新される運賃と市況情報に右往左往する日々が続きます。
船社から一方的に通知される情報をお客様にお伝えし、やっとの思いでご理解いただいたところでの次の質問は、「いったいいつまでこの状況が続くのでしょうか?」。
船社に尋ねたところで運賃やアロケーションの決定権が日本にある場合は少なく、なかなか有益な情報が取得できないことがほとんどです。
所詮我々フォワーダーは水屋商売、仕入れて売るのが生業ですので先を読むことが直接目先の売り上げ向上にはつながりません。
それでも、お客様に有益な1次情報とそれに基づく独自の見解を共有し、お客様の中・長期戦略の決定に貢献できたとしたら、運送のプロとして高い信頼性を獲得し、ビジネス拡大の可能性を底上げすることにつながります。
我々はコンサルタントやアナリストではありませんからあまり情報収取や分析に時間やお金をかけるわけにはいきません。
私の場合は次のようなカテゴリーに沿って情報を集め、考えの方向性をまとめることにしています。
社会情勢
いまサプライチェーンと運送インフラに大きな影響を与えているのは間違いなく新型コロナウイルスです。
LA/LBの沖待ち状況は一般紙でも報道されるようになっていますが、感染拡大によって港湾や鉄道、倉庫の稼働が低下し、本船の定時運航やコンテナの引取りにも悪影響を与え続けています。
経済の動向
日本発着航路のマーケット事情は、ほぼ中国発の欧米・アジア向け輸出貨物の動向に影響を受けていると言えます。
太平洋東航・西航の物量動向はDrewlyやそのデータを引用した日本海事センターなどで推移を確認することができます。
JETROでも主要国の貿易統計を参照することができ、中国発北米向け貨物は1年前からオフピークを迎えることなく活況が継続しています。
季節変動の予測も大切ですが、昨年のデータはあまりあてにならず、2019年実績を眺めているほうが参考になるかもしれません。
地政学的・政治的要因
ミャンマーやアフガニスタンのみならず、世界の各地には紛争地域が至る所に存在し、いつ物流経路を絶たれることになるか分かりません。
EVERGREENの本船がスエズ運河を封鎖した座礁事故は記憶に新しいですが、初動の速さが求められる短期的事象や対応の準備に時間を要する中・長期的事象は日々のニュースなどにアンテナを張っておく必要があります。
船社の戦略
新造船や新造コンテナの発注、デリバリー状況はマーケットのバックグラウンドを決定する大きな要因です。
これに加えて、船社がどのような戦略で運賃決定をしてくるのかを読むことが重要です。
マーケットを緩めようとしているのか、締めようとしているのか。
欲しいのか、いらないのか。
流れに乗っているのか、出し抜こうとしているのか。
まあ、このあたりを探り出すのが一番面白く、難しいところではありますが、先述のとおり日本の営業担当はそれほど意思決定に関わるリアルな情報を持ち合わせていることも少なく(責めてません、仕方ないんですきっと)、「他社さんどうですか?」などと逆に聞かれたりすることもあるのが現状ですね。
最近では短期スポットであればネットでの運賃参照、ブッキングが流行り始めており、船社が他船社の運賃を参照できてしまう時代です。
運賃が船社選定の一番の理由にはならない状況はしばらく継続することでしょう。
と、思いつくままに並べてみましたが、大切なのはあまり時間をかけないこと。
普段のお仕事もありますからね。
情報を参照し、方向性を立て、自分の経験にとってそれが馴染むかどうかを咀嚼する程度のことです。
一つ大切なのは、その考えを人に伝える機会を持つこと。
それを継続することで情報の処理も早く効率的になってくるように思います。
いらすとや様より
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