3月に同様の考察を記事にしましたが、事態は大きく進展はしていません。



2021年も下半期に入り、1か月を過ぎようとしていますが、海運市況におけるコンテナ・スペース不足、運賃高騰、遅延のリスク要因は相変わらず存在し、場合によっては悪化の一途をたどっています。

1.旺盛な中国発北米向け輸出物量
2.それに伴って上昇する海上運賃
3.北米での物流インフラの回復停滞(コロナ禍、助成金頼みの生活、猛暑と火災等)
4.アジアでのコロナ禍による物流効率の低下
5.本船スケジュールの遅延・抜港

これらの要因が折り重なってアジア・中国のローカル航路にまで様々な影響を及ぼし続けていますが、最近になってからますます本船遅延が酷くなり、アジア域内においてもコンテナの流動性がさらに低下しつつあります。


船社もいろいろな対策を講じていますが抜本的な改善の効果はなかなかあらわれず、場当たり的な遅延回復のための抜港をしたり、アジア航路の寄港地改変をおこなったり、先日は中国船社が華北・華東航路の9月からのCIC改定を発表したりしています。


北米・欧州航路のスペースが厳しい状況はずっと続いていますが、最近では豪州や西アジアなどのトランシップ航路や、近海の直行航路にまで悪影響は拡大し、安定した輸送が提供できるとは言えません。


船腹量の統計を見ると、EMCやWHLといったアジア船社も積極的に船腹を増やす計画を立てているようですが、新造船のデリバリーの多くは2022年後半から2023年とも言われており、また現在は余剰船腹も無く傭船料も高騰しているため、新たな船腹投入の効果も今年の間は期待できなさそうです。

top100


オリンピックの最中、コロナ感染者数と政府・行政施策のいたちごっこは続いていますが、物流の停滞は経済にじわじわとボディーブローのようなダメージを与え続けます。


グローバルレベルでの物流インフラの回復をワクチンにのみ期待するしかないのでしょうか。

お客様の期待に応えられない日々を過ごす我々物流業者にとっても、苦悩の日々が続きます。