内陸部の荷主やインランドデポを持つ船社が数年前から推進を進めようとしているコンテナラウンドユース。

輸入者に納品が終わり、空になったコンテナをそのまま輸出に使用することで、荷主にとってはコスト削減、船社(ヤード)の混雑解消に貢献し、二酸化炭素の排出量を削減することができるという素晴らしいアイデアです。

しかし、思うように普及は進んでいないようです。

なぜでしょうか。


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ラウンドユースの運用を希望する輸出者と輸入者にはほぼ関連性がなく、その両者のコンテナ需給をマッチングさせる事業者が必要です。

こういったマッチング事業者は船社からコンテナ管理の委託を受けたインランドデポを運用する業者も多いのですが、内陸部の自治体や商工会議所等が主宰する商談会のような場だけではなかなか機会を拾いきれないのが現実のようです。

また、船社が一般的に宣伝しているほどインランドデポの運用は簡単ではなく、実際のところ使用予定が決まっているコンテナ、もしくは見込みのあるコンテナしかインランドデポに返却できないことが多く、輸出者側もいつでもインランドデポから空コンテナを引き取れるわけではありません。

不特定多数の空コンテナを出し入れする港のCYと異なり、インランドデポはあくまでも使用者の決まったコンテナの受け渡しをする場所と考えたほうがよいようです。

さらに言えば、荷主どうしの利益や環境問題をうたったところで、一番大切なのは実際のコンテナを積んで走るドレージ業者の利益を確保することがいちばん大切です。

インランドデポへの返却や空コンテナピックを指示しても、大多数のドライバーが港のCYを起点とした1日の動きを取っている実情では、往復仕事が片道仕事になってしまい売り上げを下げるだけになってしまいます。

現時点での状況では、輸入コンテナの配送が終わった空コンテナをシャーシに乗せたまま、間髪入れず輸出者のバンニングに入れるサイクルを組むことがベストと言えます。


これを実現するには、輸入、輸出のコンテナ配送双方のコントロールを持ち、さらに双方の顧客に提案のできる営業チャンネルを持つことが理想となります。

また、コンテナのコンディションが悪い場合のバックアッププランや船社との交渉力も必要となり、仲介業者にはある程度の実績と経験が必要です。


それでもタイミングや需給のバランスによってなかなか成立しないのがラウンドユース。

数を打っていくしかありません。

輸出コンテナの確保に苦労している昨今、自社でコントロールしている輸入の船積みやドレージ手配の中に輸出でほしい船社のコンテナが無いか見直してみるのも手かもしれません。