非常事態宣言も東京アラートも解除されましたがかつての日常はますます遠く、粛々と日々の業務を消化する日々が続きます。


日本の経済活動の再開が手探り状態のなか、2020年第三四半期のLSS(Low Sulphur Surcharge)が各コンテナ船社から発表されていますが、気づいた点があります。

Yang MingやEvergreen, TS LINESなどアジア航路の中核をなす台湾船社の一部と韓国船社は、今までの方針を転換し、従来四半期更新だったLSS関連費用を月次更新としました。


これはおそらく、4月末の原油価格急落を受け、当初定めたLSS設定テーブルによる料率が実費としてかかる燃料コストをカバーできない状況が発生し、3か月という中期でのタリフ設定に無理が生じたためと思われます。

考えてみれば入港料や用船料、荷役費用や燃料費用などのコストと、荷主から徴収する運賃やサーチャージが一対一で対応しているはずもなく、収入の減少にコストの減少が追従しなかったのでしょう。

米中貿易摩擦やイラン情勢、半島の緊張に加え、BREXITも米大統領選挙も控える今年、原油価格の急変動に備えて出来る限り小刻みにLSS料率を調整できるように施策を打たざるを得なかったことは想像に容易です。

おそらく原油価格やVLSFOの動向を見るかぎり、第三四半期はLSSも2,3月ごろの原油急落前の水準にもどるでしょう。

キャプチャ



しかしながら荷主サイドとしては収益の悪化した商売に対して年初に定めた年間固定の料率に対して値下げ要請をせざるを得ない状況があり、船社の収益確保と荷主の経済活動の足並みがそろわずひずみが発生しつつあります。


船社としても企業としての収益性向上と健全な活動の維持のため、短期運賃は値上げ基調にあります。

今後しばらくの間、買いと売りの運賃基調の乖離に苦しむ時期が続きそうな気がします。



それはそうと、中国発北米航路はスペース不足による運賃上昇がつづいているとか。

米中貿易摩擦はどこ吹く風、摩擦に影響されない貿易の回復は目覚ましいものがあるようです。

中国パワー、すさまじい。