ネットの情報はだれでもアクセスでき、大量の情報を時系列やジャンルで整理された状況で閲覧できるなど、我々の生活にもはやなくてはならないインフラと言えますが、一方で情報提供者の意図しないところで偶然にも他者の不利になる情報が含まれていたり、世の中に隠されていた真実を暴く証拠となったりします。

そしてそれは、SNSなどに上げられた個人の情報のみならず、報道関係の資料や写真にも同様のことが言えます。


日本でも炎上した投稿にはどこからともなく匿名の職人や勇者が集結し個人情報を特定したりしていますが、このような活動を専門的に行い、ジャーナリズムの従来の手法を脅かしている国際的プロ集団がいます。

それがこのbellingcatというイギリスの団体。

ネットに公開された誰でもアクセスできる情報を多角的に分析し、必然性を見出すことで事件の真実を暴き出す調査報道を行う人たちです。


2012年、イギリス人のエリオット・ヒギンス氏は、自宅のラップトップ1台で始めた調査報道の情報をブログで公開することでたちまち有名になりました。

そして、各国の連絡員とも言うべき有形のネットワークと、表に出てこない沢山の情報提供者や解析を行う技術者などの働きにより、マレーシア航空撃墜事件やシリアの化学兵器使用、そして今回の新型コロナウイルスなどに関する分析結果と見解を発表してきました。

bellingcatの発表した内容が事実かどうかはもちろん法的な手続きを経て判断されますが、誰かが意図的に隠ぺいしようとした事実が明るみに出る可能性があることは間違いないようです。


bellingcatの分析手法は、ある事件に関する報道発表資料やニュース映像などの公式情報のみならず、個人のSNSなどにたまたま写り込んだ背景や群衆を徹底的に分析することによって事件に関連する状況や人物を特定したり、報道された事実との齟齬を指摘しています。

ネットに存在するオープンソースな情報でも、的確な収集と分析を行うことによって一時ソースとしての報道となりうるという、このネット時代の恐ろしくも逃れようのない真実を体現しています。


このbellingcatはこのような調査報道の手法や使用ツールを公開したり、講習を行ったりしています。

こちらはそのツールの一覧(と言っても一部だと思いますが)ですが、我々がアクセスしたり、我々自身で情報をアップしたことのあるようなアプリがたくさんあります。


tools



砂浜に散らばったパズルのピースを拾い集め1枚の絵を描くbellingcatの手法は、ほかの誰にもまねができない限り、フェイクニュースであっても検証の使用が無い危険をはらんでいるとも言えます。

しかし彼らがジャーナリズムを名乗るのであれば(Investigative Journalism)、その信頼性が損なわれるときはすべてを失うこととなるでしょう。

彼らは日々、その信頼性を損なわせようとする集団と、真実の追求という信念を持って戦っているに違いない、と思いたいですね。