一度に200人以上の乗客を乗せ、45ノット(時速約80km)もの高速でで海を翔け、波の影響はうけず乗り心地も抜群。

そんな船がこちら、ボーイングが開発した全没型水中翼船、ジェットフォイルです。

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伊豆七島をはじめ佐渡島や隠岐諸島、九州の離島への重要な交通手段として活躍するジェットフォイルは1979年に佐渡汽船が日本で初めて運用を開始し、それから40年以上にもわたって活躍を続けています。

1989年からは川崎重工による日本国内でのライセンス生産が開始され、いまでは約20隻ものジェットフォイルが日本中の海を翔け巡っています。


もともと軍用の船舶として1960年代に開発が始まったこの船は、パトロール艇トゥーカムリとしてベトナム戦争に投入されたのち、1970年代に入りNATOのペガサス級ミサイル艇として配備されました。

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その後、旅客用ボーイング929‐100ジェットフォイルとして生まれ変わっています。


ガスタービンエンジンを動力としてウォータージェットによって推進するジェットフォイルは、水中のフラップを作動させて航行時の姿勢を自動制御することにより、揺れが少なく非常に乗り心地がよいとされています。

しかしながらその特殊な機構と整備性から導入、運用コストは決して安くはなく、代替船は運行船社に共通する大きな課題であり、船の老朽化は大きな課題でした。


ところが昨年、なんと25年ぶりに東海汽船は川崎重工にジェットフォイルの新造を発注し、2020年6月に竣工予定となっています。



未来を翔けるピカピカの新造ジェットフォイルを見ることができるのも間もなくです。



東京の芝浦ふ頭に東海汽船の荷扱い所があるのですが、そこにジェットフォイルが係留されています。

タイミングがいいと聞くことができるその始動音はジェット機そのもの。

キーンという甲高いタービンの音と、船体から立ち上る陽炎をみると、乗り物好きの魂はなすすべもなく揺さぶられるのでした。

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