亡命とは、在住している国で自らの身に危険が及ぶとき、他国に保護を求めて逃れることを言います。

自らの身に危険が及ぶに至る理由は主に政治的理由や宗教的理由が多いですが、犯罪を犯したと疑われるものが何らかの利益を以て自身の身柄を受け入れ、保護してくれる場合にもそのようなことは起こり得ます。

最近では、アメリカ国家安全保障局(NSA)の個人情報収集の実態を暴露したエドワード・スノーデンや、古くは日本から北朝鮮に亡命したよど号事件のメンバーなどが有名です。


さて、12月31日夕方、驚きのニュースが飛び込んできました。

キャプチャ


自身の役員報酬額について虚偽の申告をしたり、会社の資産を私物化を疑われ、金融商品取引法違反の疑いで逮捕され、保釈中だった日産自動車の元CEOのカルロス・ゴーン容疑者が国外に逃亡し、レバノンから声明を発表したというものです。


そもそも保釈とは、証拠隠滅や逃亡の恐れがない場合にのみ認められるはずなのですが、まんまと逃げおおせたことになります。

ゴーン氏は、楽団の楽器ケースに身を隠し、地方空港からひそかに自らのプライベートジェットで日本国外に逃亡し、トルコを経由して亡命先であるレバノンに到着したとされていますが、まあなんと、お金さえあれば何でもできてしまうんだなぁというのが第一印象です。


レバノンと日本は犯罪者引き渡しの国際条約を結んでおらず、レバノン政府は日本に対してゴーン氏の身柄を引き渡す義務はありません。

また、今回の密出国も、レバノン政府の力が働いているという見方もあるようです。


レバノン人を両親に持つゴーン氏にとっては故郷のような国でもありますが、企業犯罪者をかくまうメリットは金銭以外にはないでしょう。


もともと資産家でもあったゴーン氏ですが、日産の資産の私有化が問題にもなっていました。

日産やその関連企業の方々が汗水たらして働いた糧ともいえる資産を私物化し、挙句の果てに日本で裁きも受けず逃亡とは、なんともやりきれない気持ちです。


東京地裁はすぐさま、ゴーン氏の保釈を取り消すとともに、保釈金15億円を没収しました。

今後、日本政府の対レバノンへの対応が待たれます。