令和元年10月23日 国土交通省港湾局長 東京都港湾局長 発

東京港コンテナターミナルにおける長期蔵置貨物の解消について


キャプチャ2


来年の東京オリンピックに向けて、港湾地区の混雑解消のため、このたび国土交通省と東京都が初めて連盟で通達を発表しました。





その骨子は下記の通り。

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① 2019年12月からは、すべての貨物において、無料保管期間 (フリータイム)の延長を行わず、貨物の早期搬出にご協力をお願い します。

② デマレージ(フリータイムを超えてコンテナヤードに留置された場合に 課される超過保管料)についても、適切な運用へのご理解をお願い します。

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そのココロとしては、現在ヤード内には恒常的に長期蔵置貨物が大量に蔵置されているためヤード内荷役の効率が悪く、長期蔵置貨物を解消することで荷役効率を向上させ、コンテナ搬出入のスピードをあげようというもの。


キャプチャ


ヤード内のコンテナの絶対量を減らすことが並びを短くすることに貢献するのかどうかは、筆者はヤードオペレーションに直接かかわったことがないためよくわかりません。

ですが、港湾局のHPで紹介してある上記イメージ図を見ると、きっとうまくいくのかもしれませんね。


しかし、今回の通達文にあるフリータイムに関する記述は、少々具体性に欠けており、どの程度効果を発揮するかについては少々疑問をもっております。


今回の通達文は、荷主の皆様へ、となっています。


フリータイムの延長はしない、またデマレージについての理解を求める、ということは、フリータイム内で貨物を引き取り、なおかつ発生したデマレージについてはちゃんと支払ってください、ということですよね。


つまり、現状は、フリータイムを越えても無料期間を延長依頼しているということ?

そして、発生したデマレージについて減額もしくは免除の依頼をしているということ?



フリータイム、デマレージの設定とコントロールは船会社が行っています。

つまり、運賃契約の付帯条項として定められた長期フリータイムは船会社によって決定されており、そこにコンテナヤードの意思は介在していないのです。


現実問題として、3週間や4週間という長期フリータイムを当たり前のように要求し、さらにそれを越えて蔵置された貨物に発生したデマレージの減額を要求したりする荷主(業界)は存在します。

どの業界とは言いませんが、基本的には安価でかさばる貨物を海外から大量に輸入して販売している業界、ということになります。


港湾の業務効率が悪化し、ヤード内作業員やドライバー不足からさらなる悪循環を招いているのも事実ですが、このような業界による無計画な大量発注と港湾、コンテナが倉庫代わりに無料で利用されている現実の解消は海貨業界の景気回復にとって必須条件です。

オリンピックに向けての場当たり的対策も大切ですが、物流業者の単価をチマチマと叩くよりも無計画な発注で抱える運送途上の大量在庫を減らすほうがよほどコスト削減に結び付くのではないでしょうか。


我々も家に帰れば消費者のひとりであり、欠品の無い品ぞろえから安いお買い物ができるこの環境の恩恵は受けています。

しかし、流通経路のどこかにある無駄を削らない限り、業界の作業単価を上げることは非常に難しいものです。


コストは目に見えます。

しかし、意図的にコストに置き換えられていない無駄は確かに存在します。


見えない無駄を解消するところに、今後SCMに投資する価値があるのではないかと筆者はにらんでいます。