冬の星座がよく見える季節になってきましたね。


18世紀、フランスの天文学者メシエは、彗星の観察の際に彗星と紛らわしい天体に番号を付け、カタログ化しました。

M31アンドロメダ銀河やM42オリオン大星雲、M45プレアデス星雲(すばる)など有名な星雲に、メシエのリストに後世の人によって書き加えられたものを合わせ、現在M110までがカタログに列せられています。




さまざまな星団や星群、銀河などがならぶこのリストで唯一、超新星残骸として名を連ねているのが、M1かに星雲です。

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かに星雲は、天空に赤く怪しく輝くアルデバランやプレアデス星雲によって描かれるおうし座の右の角の近くにある星雲です。


しかし、このかに星雲、実は1054年に超新星爆発を起こした星の残骸だということがわかっています。


この超新星爆発については、中国やトルコなどの歴史的文書に記録が残されているとされ、昼間でも23日間にもわたって星が輝くのが見えたとされています。


そして日本でも、平安時代の文学者藤原定家が「明月記」の中に、「この星鵬々として光薄し。その勢い小にあらず。」とその様子を記しています。

※実際のところ、藤原定家は1162年生まれなので、このダイナミックな天文現象の記録は自身によるものではなく、ほかの誰かの記録をもとに記載されたとみられています。


それにしても、かに星雲までの距離は7200光年。


平安時代に見られたこの現象も、そのまた7200年まえに起こったことがやっと地球で観測されたということになり、そしてまたその何百年ものちに、メシエによって星雲としてカタログに乗せられているわけなのですが、何億、何十億年というスケールの星の生涯に、たかだか数千年の人類の文明が遭遇するなんて、どれほど幸運なことでしょう。