フィジカル?インターネット?

フィジカルってなんだ。 フィジカルとメンタル?肉体と精神?

実体と概念? んで、インターネット???


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実はこの言葉、物流業界の用語なのです。

この言葉を説明するためには、まずインターネットの概念を理解する必要があります。



生活の中にインターネットが浸透してもう何十年たつでしょうか。

もはや説明の必要はないかもしれませんが、インターネットとは世界中に広がるコンピュータの間で、決まったルール(プロトコル)のもとに情報のやり取りを行うネットワークのことです。

最近ではIoT(Internet of Things)という言葉も登場し、情報のやり取りをするのはパソコンやスマホだけでなく、コンピュータを搭載した家電や設備、乗り物などもインターネットを構成する要素としてとらえられるようになりました。

ある試算では、こうしたインターネットにつながった物の数は2009年には25億個でしたが、2020年には300億個以上になると考えられています。


さまざまな要素からの情報を同じ場所に蓄積し、ビッグデータの中から瞬時にある目的を達成するための最適解を見つけることができるようになったのはAIの発展のおかげと言えます。

また、AIが試行錯誤を行い、最適解を見つけられるようになるまで繰り返し学習を行ったり結果を検証したりといったディープラーニングは、現実世界から集めた情報を組み合わせて仮想的に構築されたサイバー世界の中で行われます。


現実世界と仮想世界の同一性が重要なのですが、どこか倉庫の棚とWMSの状況と似ているでしょうか。


インターネットが最適に情報のやり取りを世界中で行うためには、共通の規格で構成されるネットワークの中になるべくたくさんの要素の情報を取り込み、目的を達するための最適解を導き出す必要があります。

そしてこの概念を物流の世界に取り込もうという考えが、フィジカルインターネットなのです。


この考え方の根本には、物流のためのリソースが不足していること、そして現在の物流はそのリソースを使う効率が極限にまで高められていない、という大前提が隠されています。

しかし、迫りくる少子高齢化時代に向け、なんらかの対策を打たなければならないのは事実。

いくら情報通信が発達しても、モノの動きは止まらないのです。


さてさて、具体的に物流の現場にフィジカルインターネットの概念を取り込むとはどういうことなのでしょうか。

さきほどの3つの条件に当てはめて考えてみます(筆者独自の見解です)。


共通の規格

物流での規格というと、パレットサイズやコンテナのサイズなどを考えがちですが、それらも構成する要素の一つの情報でしかありません。

共通の規格とは、ズバリ要素を構成する情報の規格です。

そして、要素とは「荷物」と「輸送手段」です。

要素を構成する情報とは具体的に、

「荷物」 : 貨物の内容、物量、梱包形態、集荷場所、配送場所、時間的な制約、その他の条件(温度管理など)

「輸送手段」 : 輸送形態(トラック、飛行機、鉄道、船、・・FCL、LCL)、出発時間、到着時間、出発場所、到着場所、その他の条件(空車状態やコスト、車両設備、その他もろもろ)


要素の情報とは、上に述べた情報企画の具体的な内容のことを指します。


そして、規格通りに情報が取り込まれた仮想世界のなかで、荷物が指示通りの輸送されるための最適な手段が設定され、具体的に指示を出します。

おそらくその最適解を導き出す役割は、人間ではなくAIによって担われるでしょう。


古くは水屋から始まり、最近では運送のマッチングが盛んですが、これはこの概念を非常に限られた狭い範囲の中で実践している結果と言えるでしょう。

しかし、フィジカルインターネットが描く未来図は、その制約条件をすべて取っ払った世界です。


非常に観念論的と捉えられるところにこの「フィジカル」というネーミングの妙味を感じます。


このような世界が現実になるのかどうかは分かりませんが、少なくとも限られたリソースを出し合い、共有しあう社会はすでに始まっています。

そして、大手物流企業がこの研究に大きな投資を行い、来るべき社会に備え、優位性を保とうとしていることも事実です。


まるで物流現場の要素がチェスの駒のように扱われるかのような概念ですが、それでも少なくとも我々物流マンは、現場で汗を流し一つ一つの貨物を大切に扱う人たちがいることを決して忘れてはいけません。