友人が起業するという。


それも、アメリカで。
それも、飲食で。


企画の概要の資料を見せてもらった。

その事業計画を見て、その独自性にムチャクチャ驚いてしまった。


まずはそのブランディング。

本人はこれまでサラリーマン生活をしており、企業は初めて。
まして、飲食店の経営について、どこかのお店で師事を受けたりコンサルタントを雇っているわけではない。

しかし、メニューや営業形態、単価の設定はもとより、店舗のロゴや内装、今後の営業拡大に向けたビジョンまで、緻密に計算されていた。

昔風に言うと脱サラして飲食店を始めるなど、「子供も手が離れたし、夫婦二人で食べていければいい」感覚の企業が多いように思われるが、彼は違う。

開業前の段階で、すでに「アメリカで話題のこの店が渋谷に初出店!」と広告を出されてもおかしくないようなストーリーを描いてある。
実際、アメリカでの起業だけでなく、その何年後かに日本に事業を逆輸入し、女子高生が放課後に立ち寄っている絵が見えるようだった。

ブランディング、かくあるべし。
蓄えを食いつぶしながら、良くて現状維持のビジョンでは、ビジネスとして成功するはずもない。


次にマーケティング。

店舗の立地や周囲の環境、交通量だけでなく近隣の住人や勤め人がどのような人種、所得、行動時間帯なのかも要素に入っている。
そのうえで、驚くべきはその戦略。

夫婦で始める(つまり日本人で始める)ビジネスであるにも関わらず、日本人色を表に出していない。
あくまで味で勝負、そのうえでレシピや素材の選択に日本人ならではの繊細な心配りがなされている。

おそらくこの店舗がオープンして訪れたアメリカ人は、まず日本人が立ち上げたお店だとは気づかないのではないだろうか。



そして最後に、彼の素晴らしい点はその「伝える力」。

冒頭に述べた企画の概要資料。

はじめ、それを手に取ったとき、銀行から融資を取り付けるためのプレゼン用企画書だとおもっていた。
ところが、聞くと事業はサラリーマン時代の貯蓄を使い、すべて自己資金で賄うという。

その資料は、友人や知り合いに見せるためだけに作成したらしい。



資金力や立地、料理の腕だけでは必ずしもビジネスは成功しない。
現在の需要を分析し、またターゲットとする環境の中で新たな需要を生み出すには、マーケティングなしには成功は無しえない。

しかも、事業として継続し、将来に向けて成長をするためにはブランディングは必須である。

まだ開店に向けて準備中であるが、彼のビジネスの成功を祈りたい。
そして、わざわざアメリカまで食いにいけないから、早く日本に事業展開しれくれ。