卒業のシーズンですね。


新生活が始まる前の休息期間、海外旅行に行かれる人もいらっしゃるでしょう。

旅行の荷物はだいたい、お土産品などによって帰りのほうが膨らむもの。
旅慣れた人であれば、現地から日本に向けて送ることのできる荷物を送る方もいるかもしれません。

また、海外から日本に留学や仕事でやってきた人たちは、実家にある自分の荷物を日本の自分の住んでいる場所に送ってもらうこともあるでしょう。


自分が飛行機に乗るときに持ち運ぶ荷物は携帯品と言います。
個人用の私物として認められる携帯品は、品目や数量、その申告上の価格の制限範囲内においては免税が適用されます。
携帯品の免税については、入国時に税関に提出する「携帯品・別送品申告書」によって免税が認められます。
飛行機の到着前などに渡される、あの縦長の紙ですね。

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もちろん、制限を超える物品についてはこの申告書の申告内容に基づいて貨物の検査を受け、課税された税金(簡易税率)を支払うことによって国内に持ち込むことが出来ます。


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さて、問題は自分の荷物を携帯せず、郵便やクーリエ便などを利用して別で送る場合です。


本来、日本に入国するときに携帯しなかった荷物をちゃんと免税で日本に届けるには、この入国時の別送品申告書を2通税関に提出し、貨物が到着して通関手続きをするときに通関業者に対して別送品であることを伝え、正しく手続きをしてもらう必要があります。
別送品の申告手続きをするには、別で送られた荷物のあて先がちゃんと本人宛になっていること、貨物に別送品であることが表示されていることなど、いくつか条件があります。


しかし、荷物の送付を人に頼んで内容物も不明なままテキトーに送ってもらったり、自分が入国するときに別送品申告書の手続きを忘れたり、運送会社の通関の際にちゃんと意図が伝わらなかったりと、別送品の免税がうまくいかない人の例を多く見る気がします。

業者の手落ちによって手配が出来ない場合もありますが、多くは別送品として扱うための準備が欠落し、一般的な通関手続きで貨物を輸入するため税金を支払う羽目になる例が多いようです。


こうした場合、本人からしてみれば「私の物なのになぜ税金が?」となるわけですが、本人と貨物の動きが伴っていない場合、税関にしてみれば何の変哲もない輸入貨物でしかないわけです。
しいて言えば、私物の中古品であればそれなりに安い値段での申告が認められるだけのこと。
税関に対して、個人用の品物の免税を適用するには、別送品申告の手続きを正しく行うほか、方法はありません。
いくら荷物から遠く離れたところで言い張っても、商業目的でない客観的な証拠は何もないですからね。


また、新品のブランド物などは仮に別送品申告の手続きを取っていても、転売目的での持ち込みでないことの証明が難しいため免税にならない場合も多いようです。
知的財産権の観点からも税関の監視は厳しく、価格が適正かどうかも非常にシビアな判断がなされます。
また、本当に自分用に買ってきたブランド品だとしても、20万円の免税枠を超えれば問答無用に課税されます。


こうして、買ってきたわけでもない使用済みの自分の私物に税金が発生するというハプニング(?)が起こるのですが、どうか通関業者に文句を言うのは控えていただきたいところです。


なお、お土産品のフリをしてガッツリと現地で仕入れた商品を別送品申告で国内に持ち込み、商業利用する方もいると言います。
これは犯罪ですからね。