2018年10月4日、三菱重工神戸造船所で、海上自衛隊そうりゅう型潜水艦の11番艦が進水式を迎えました。

この新しい潜水艦、「おうりゅう」こそが、世界に先駆けてリチウムイオンバッテリーを搭載し、100年間続いた鉛蓄電池駆動の潜水艦の時代を打ち破った世界最強の呼び声高いディーゼルエレクトリック式の潜水艦なのです。


wst1810040017-p1



原子力潜水艦を保有しない日本の海上自衛隊にとって、潜水艦の水中航行持続時間の延長は大きな課題でしたが、スターリングエンジンと非大気依存推進(AIP)システムを搭載したそうりゅう型は、すでに他国のディーゼル潜水艦と比較しても抜きんでた性能を有していたととらえられています。
また、核戦力の保有に抵触する原子力機関の軍艦保有が許されない日本ですが、それでも敵地近くからの先制(核)攻撃のための戦略兵器を必要とせず、領海防衛の目的であれば原子力潜水艦はオーバースペックとも言えました。


そうりゅう型の運用が継続している中、日本の科学力はエネルギー効率が良く安全性を高めたリチウムイオン電池を潜水艦に世界で初めて搭載することによって、より効率の良いエネルギー運用が可能となり、作戦により広い可能性を持たせることに成功しました。
スマホなどでも話題になったように発火の危険性を伴うリチウムイオン電池の利用はまだ潜水艦という環境にとって課題が残っているのかもしれませんが、それでも世界中の潜水艦開発がおうりゅうに追従するとの見方が多数となっています。


キャプチャ



X舵による機動性の向上、超高張力鋼板で覆われた船体によって実現された深深度航行(一説には900mまで潜れるとの話も)、6門の魚雷発射管に備えられた89式魚雷とハープーン対艦ミサイルなど、もともと非常にすぐれた基本設計を持ったそうりゅう型に大きなグレードアップとなるリチウムイオン電池の搭載は、海洋国家日本の海の守りにとって圧倒的な抑止力を発揮してくれるに違いありません。