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組織として業務を回していく際に大事なこと。

それは、一つ一つの業務方法についてツールの使い方や処理方法をそれぞれの担当者が習熟し、確実に処理をこなすこと。
そして、それぞれの担当者が相互に関連した業務のサイクルを回し続けることです。


組織にもいろいろな規模があります。

業務単位での数人で構成されたチームから部課所レベルの中規模なもの、そして、会社組織全体や業者間にわたる大きなものまでさまざまです。

業務のサイクルはそのまま経済活動のサイクルともいえます。
それぞれの要素が関連しあってお互いによい影響を与え合い、活動を継続するために大切なのは、それぞれの要素に対する利益です。

個人レベルでの給料やインセンティブ、部課所の実績数値や会社としての利益など、経済活動の根源エネルギーはそれぞれにもたらされる利益といえます。
必ずしも金銭に換算される利益ばかりではありませんが、いずれにせよ要素に対する利益がエネルギーの基となり、相互に利益を与え合うサイクルが構築されれば活動は継続されます。


面白い本を見つけました。



日本の田園風景に多く見られる棚田、その石積みのための技術について記された本です。

しかし興味深いのは、石積みの技術や道具に関する記載だけでなく、景観保全や農業環境の保護といった社会的活動や、そのための労働力の調達方法、作業そのものの動線や準備から片づけまでのフローや最適化にまで細かく描かれています。

かつて日本の農村部にはそのような技術の伝承とともに、継続的に活動を続けるための地域コミュニティや資材を共有する社会的仕組みが存在しました。

著者の着眼の素晴らしいところは、単なる景観保全や技術伝承をうたったところところで本来の農地としての価値を継続する力にはなりえないと断じ、そのサイクルを継続させる仕組みを提唱したところにあります。


日々の業務の中、それぞれの持ち場に与えられたタスクと責任があるわけですが、そこだけを見ていてもなかなかうまく回らないことは多いものです。

組織の中でそれぞれの要素がお互いに影響しあって活動を回しており、その相互作用はお互いの利益になるようにフローを構築することがとても重要です。

石積みという全く違うジャンルのこの著書のなかで、フローの設計と最適化のヒントがたくさん隠されているように思えました。