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工業製品に必要な原材料や部品を調達するとき、海外から輸入をしたほうが安いことはよくあります。
しかし、国内でも製造されている製品に対して攻撃的な意図をもって不当に安い価格で販売(輸入)されてしまうと、国内の製造業者は本来の価格競争力を失い、販売力に打撃を受けてしまいます。

このように、自社の採算を度外視して不当に価格を下げ、競争相手に対して攻撃的な意図を持って物品を販売することを不当廉売(ダンピング)と呼びますが、貿易においては特に、国内で販売されている価格よりも安価に海外向けに販売することを指します。


不当廉売価格が疑われる物品については、利害関係者、つまりその物品の国内生産を行い25%以上のシェアを持つ者の依頼によって申し出があった場合に財務省や経済産業省が実態の調査を行います。
そして、対象となる物品の輸入の事実や不当廉売が行われている事実が認められると、不当廉売関税の課税が決定されます。


不当廉売関税の上限は、輸出国での正常価格と輸入価格の差額が上限とされますが、その差額によっては非常に高額に見える税率になることもあります。

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いったん不当廉売関税の課税が決定された物品は、不当廉売価格と認められた場合には高額な関税が課税されますが、その後の輸出者側の改善や課税期間満了とともに、課税は終了します。

通常、輸出者側の調査は詳細にわたり、原産国はもとより製造者名やその原価、国内販売価格などを基にそれぞれの不当廉売関税率が定められます。

現在、不当廉売関税が継続して課税されている有名どころは、韓国、中国産の炭素鋼製接手(Fittings)や中国産PET(ポリエチレンテレフタレート)などでしょう。


国内生産者から申し出があり、調査が決定された物品に対しては非常に細かな調査がなされ、100ページを超える調査報告書とともに課税決定の告示がなされます。

貿易をしないと成り立たない日本にありながら、国内産業の保護も同時に行わなければならない匙加減の難しさでしょうか。

何気なく輸入しようとするその貨物には、特に関税制度に注目すると、色々な政治・経済的な背景が含まれていることは非常に多いものです。
唐突に高い関税を払う羽目になる輸入者に対して、正しい知識を過不足なくお伝えしなければならない場面、うまく対処できるでしょうか。