国際物流の仕事をしていると、しばしばインコタームズという言葉を目にします。
具体的には、FOBとかCIFとかDDPとか・・・


国内で運送会社に貨物の運送を委託する場合、運賃は元払いか着払いを選択します。

貨物の送り手と受け手のどちらが運賃を負担するのかはその貨物の売買契約に基づく場合が多いですが、納品先にメーカーなど商品の発送元が納品をする場合、通常は運送会社に運送を委託する荷主が運賃を負担して運送を手配し、その運賃は商品代金に転嫁する場合がほとんどでしょう。

これはつまり、納品先に納品するまでの責任が発送元にあり、納品以前に発生した遅延や紛失、破損などは発送元の責任となります。



しかし、国際貿易の場合、貨物の出荷から納品までには様々な作業が段階を追って発生し、また日数も何日もかかります。
また、それぞれの国によって商習慣が異なったり、単なる元払いや着払いでは微妙なタイミングで発生した商品の不具合や輸送トラブルに関してどちらが責任を持つのかが難しい場面もあり得ます。

そこで、貿易における責任の区分と所有権の移譲のタイミングの明確を定めた国際的なルールが1936年、パリの国際商業会議所で定められました。

これがIncotermsです。

キャプチャ



Incotermsは1936年の制定以降、何度も時代背景に即した改定が繰り返され、現在最新の基準はIncoterms2010とされています。

Incoterms2010には以下の11の貿易条件が定められています。

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また、貿易に伴う売主と買主の義務も明確に規定されています。


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Incotermsについては、Webにも多数の情報があり、いくらでも調べることが出来るのであまりここでは多くは触れません。
フォワーダーの経験上学んだ2つの知恵だけ皆さんに共有しておこうと思います。


1. 運賃(海上運賃/航空運賃)を支払う側が運送会社(フォワーダー、船会社等)を指定する権利を有するということ。

例えば日本のメーカーさんから輸出の依頼を受けても、貿易条件(Incoterms = ちゃんとしたInvoiceの場合、建値としてInvoiceに記載があります)の確認は必須です。
もしFOBやEXWなどであれば現地のお客さんがフォワーダーを指定することが普通なので、現地からの確認を取る必要があります。

ただ、通関業者にとっては、FOBでもCIFでも自社で国内輸送~通関を行うことに変わりなく、あまり商売に影響しません。

海外向けに部品の供給をFOBで行うメーカーさんなどにとっては、フォワーダーが1年や半年ごとにかわるのは珍しくなく、通関業者のやる仕事はブッキング先を変更するくらいしか違いがなかったりします。
通関業者(乙仲さん)が輸出企業の実質的なビジネスを握っているのは日本独特のビジネススタイルかもしれません。


2. そうは言いながらも結局はお客さんの(合意に基づいた)指示に従うということ。

Incotermsはあくまで世界共通の物差しであって、守らなければならない決まりではありません。
梱包は売主の責任の一つですが、EXW案件で機械を裸で引き取って梱包を行い、梱包費用を現地に請求することも珍しくありません。
また、航空輸出ではFOBやFCAの場合の通関業者の選定や通関費用の負担は非常にあいまいで、双方の合意を確認することが多いです。



国際ルールとしてのIncotermsを頭に入れることはもちろん大切ですが、お客様の要望にそって、ネットワークを生かして現地のお客様とのやり取りに手助けをすることもフォワーダーの大切な仕事の一つだと思うのです。